「マイナンバー商戦」はここまで沸騰している 個人番号の通知まで、あと1カ月半

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企業側の実務において最初の関門となるのが、従業員とその家族のマイナンバーを収集する作業だろう。

野村総合研究所は、マイナンバーの収集代行ビジネスに力を入れる一社だ。同社は2014年1月のNISA(少額投資非課税制度)導入のときに、口座開設の代行を金融機関から受託。そのときのノウハウをマイナンバー収集にも生かせると考えている。

収集方法は、マイナンバーを郵送してもらい、それを機械で読み取るというもの。NISA導入の際には、本人確認のための書類不備の割合が10%超に上った。システム上ですべての作業を完結できれば効率的だが、結局は督促などの人的作業が必要となるため、今回も人海戦術を採る。

NISAの場合は、数カ月で300万口座分の本人確認を行った。「今回は、それをはるかに上回る数をこなすことになる」と、渋谷直人・新事業企画室長は想定する。自社だけでは人手不足となるのは必至と考えており、大日本印刷やもしもしホットラインなどと提携し、今から人手確保に奔走している。

管理業務にも大きな商機

収集が終わってからも、企業側には、マイナンバーの管理に高度なセキュリティが求められる。国のガイドラインは、情報を管理する区域を設けて入退室管理システムを設置するなどの対応例を挙げている。だが、社内に余剰スペースがない、といったケースも考えられよう。

そこでマイナンバー管理業務の受託に商機を見いだす企業も増えている。

日立製作所は、顧客企業の従業員とその家族も含め、マイナンバーの収集から管理まで、一括して請け負うサービスを始めた。5000人程度の情報を任せるケースでは、料金は初期費用が約600万円、年間の委託料が約400万円。同社はこのワンストップサービスで、2018年度末までに累計200億円程度の売り上げを計画している。

「最初は内製化を試みる企業が多いだろうが、情報漏洩のリスクを考えると、アルバイトを雇うこともできない。すぐに大変だと気づくのではないか」(日立担当者)

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