ボンバルディアの新小型機は何がスゴイのか 日本攻略も目指す革新的飛行機
今回のパリ航空ショーではCS100の機内も公開されている。機内に入って最初に感じたのは、通路をはさんで左側に2席、右側に3席というシート配列がもたらす「余裕」だ。
ほとんどの航空会社では、737やA320のエコノミークラスに、通路を挟んで3席ずつというレイアウトを採用しているが、CS100は燃費性能を高めるため、737やA320に比べて飛行時に空気抵抗の少ない細い胴体を採用しており、左側2席、右側3席というレイアウトとなっている。
Cシリーズと737、A320との通路幅の広さの差は1インチ、シート幅の広さの差は1~2インチと、数字だけ見れば大きなものではないが、737、A320に比べて天井が高いため開放感があり、また足下と前後スペースを広く感じさせる薄型シートを採用していることなどもあって、数字以上の「余裕」の差を感じさせられた。
筆者は今回モスクワ経由でパリへと向かい、パリ~モスクワ間でエールフランスのA320に搭乗したのだが、通路を挟んで左右3隻というシート配列(エコノミークラス)のA320による約4時間半のフライトは、さすがに身体にこたえた。実際にフライトをしたわけではないが、もしパリ~モスクワ間で登場した機体がCS100であれば、フライトによって生じた疲労は、より少なかったのではないかと感じた。
日本のエアラインにとっても武器になる
関西空港を拠点にA320を運航しているLCCの「ピーチ・アビエーション」は、就航する国際線の路線を決定する際、同社が運航するA320(通路を挟んで左右に3席ずつをレイアウト)の座席に座った乗客が苦痛を感じない時間を考慮しており、その限界を約4時間と見積もっているとみられる。
他の航空会社でも、737の全席をビジネスクラスとしたANAの成田~ムンバイ線のような例外を除けば、飛行時間が4時間を超えるフライトに、単通路機が使われることはほとんど無いが、これはピーチと同様の判断によるものと思われる。
ボンバルディアで中国・アジア太平洋地区の販売担当副社長を務めるアンディ・ソレム氏は「仮に日本のエアラインがCシリーズを採用した場合、国内・国際線の短距離路線だけでなく、中距離路線と位置づけられている、中国本土やインド、東南アジアなどを結ぶ、飛行時間が4時間を超えるフライトにも使用するのではないか」との見通しを示している。これは航続距離の点で可能というだけでなく、乗客の快適性を重視する日本のエアラインが、中距離路線に投入できるだけの快適性があるとの自信を示したものともいえる。
ボンバルディアは日本をCシリーズの重要なマーケットと位置づけており、積極的なセールスを展開しているが、いまだボーイングとエアバスの牙城を切り崩すには至っていない。ただ、競争が激化する中、日本のエアラインが海外エアラインと伍していくための、大きな武器となり得る能力を備えていることは確かだ。
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