シャドーバンキング(規制逃れ的な金融行動)規制論議、規制のあり方と影響をわが国はもっと注視せよ
FSBによるシャドーバンキング規制の提言時期は11年半ばとされたが、今のところ公表されていない。だが、作業を取りやめたわけではない。11月3~4日に開催されるカンヌサミットの場で提言が行われる段取りとなっている。
あらためて、シャドーバンキング規制問題について考えてみたい。
まず、指摘しておきたいのは、シャドーバンキング規制の必要性が論じられた背景には、銀行規制逃れと同時に、世界的な商品市況の激しい高騰があったこと。
第二に、経済行動を規制すると、必ずといっていいほど規制逃れが誘発されること。規制主体(監督当局)と市場はいたちごっこを演じており、規制主体は、想定外のエリアから頭をもたげる現象に対し、モグラたたき的に規制を連発しがちとなる。その結果、市場機能が著しくシュリンクする事態が生じかねない。
欧米では大衆レベルの「金融悪者論」が激化しており、それを政治が無視しえなくなるというポピュリズムがこの連鎖を助長する傾向が存在することも、大きな懸念材料だ。
商社は? 波及の懸念
一方、主に欧米を舞台にした金融危機であるためか、わが国では、こうした規制強化論と、その規制によってさらに別の問題が誘発されるメカニズムに対する議論が不足している。しかし、国際規制である以上、わが国も、その例外にはなりえない。したがって、現在グローバルに行われているこの議論を等閑視することは許されない。
それどころか、わが国では、銀行以外にも金融的な手法を取り入れたビジネスを展開している企業が少なくないことを踏まえれば、極めて重大な問題であるといえる。たとえば、天然資源への投機が論議の原点にあるとすれば、わが国独特ともいえる企業集団である総合商社はいったいどうなるのか。総合商社は、「商社金融」と呼ばれる独自の信用創造行為も行っている。