シャドーバンキング(規制逃れ的な金融行動)規制論議、規制のあり方と影響をわが国はもっと注視せよ

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目の前の大問題である世界経済の混乱が、現在さらに加速度的に変容しつつある。通貨危機の主役がドルからユーロへと変わったと思いきや、激しい国際資本移動(資本引き揚げ)を背景に、新興国通貨の動きも不安定さを増してきた。

こうした目まぐるしい変化に追いつくのは容易ではない。実態は、発生する事態に事後的解釈を示すだけで精いっぱいという状況で、わずか1年前の出来事を振り返る余裕もない。いや、1年前などすでに忘却のかなたと言っても過言ではないだろう。

2010年11月11~12日、韓国のソウルで第5回G20サミットが開催されていた。当時の経済情勢は、世界的な金融危機への懸念が高まりつつある一方、欧米諸国による強烈な金融緩和により、国際的に流動性が拡大し続けていた。その結果、石油など天然資源の価格が猛烈に高騰し、それが世界経済に与える悪影響が強く意識されていた。

そうした情勢下で開催されたG20ソウルサミットでは「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み(フレームワーク)」作りが議論された。

参加国首脳たちは、具体的なアクションプランの策定についてもコミットした。その分野の一つが金融制度改革。そこでは、銀行に対する新たな国際自己資本比率規制(バーゼル�)と「グローバルなシステム上重要な金融機関(G‐SIFIs)」の基本的な位置づけ、その具体化作業のスケジュールが決定された。

当時、この部分のみがことさら大きく報じられたが、金融分野において提示された規制はそれだけではなかった。10年12月25日号の週刊東洋経済でも指摘したように、“シャドーバンキング”という、あまり聞き慣れない問題が議論され、その規制強化がスケジュール化されている。

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