決算発表の場でインセンティブ上昇について問われた内田誠社長は「われわれのインセンティブは業界平均レベルだと思っている。販売の質の向上を維持するという観点から、ほとんどはキャッシュ(値引き)ではなくお客様のローンの支援に当てている」と答え、特段問題視しなかった。
だが、日産がアメリカ市場で「インセンティブ漬け」になったのはこれが初めてではない。カルロス・ゴーン時代の拡大戦略の中にあった2016年にも1台当たりインセンティブ額が4000ドルを超えた。これを原資に現地ディーラーは安売りを濫発、日産車のブランドは大きく毀損した。
日産に16年間勤務し北米事業の経験もあるブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、「40年以上変わらない構造問題だ。日産には『こんなに売れるわけがない』とみんながわかっていても過大な計画を立ててボリュームを伸ばそうとする歴史がある。『できない』と言った瞬間、『君はいらない』と言われてしまう」と嘆く。
日産関係者によれば、「そもそも今回、ローグのモデルチェンジが遅れたのもストレッチした生産計画とブランド力低下によって旧モデルが売れ残ったのが原因。特殊要因があったわけではない」。
日産の在庫は、コロナ禍や半導体不足で供給制約が起きた2019年以降、減少していた。供給制約が解消された途端に無理して数を追う悪弊が顔を出した。コロナ禍が隠していた日産の構造問題が再び噴き出した形とも言える。
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