「ポスト岸田」に野心の茂木氏が及び腰になる事情 "令和の光秀"批判を恐れてか「先頭に立たず」

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しかも、「党執行部の総合調整役」(自民長老)とされる森山裕総務会長も、「茂木氏への信頼感は希薄」(森山氏側近)とされる。ここにきて森山氏は地方講演などで「(党内で)岸田おろしは加速していない。(総裁選では)世界情勢が厳しくなっている時に、どなたがふさわしいかをしっかり考えて選んでいくべきだ」などと“岸田続投”への期待もにじませる。

もともと、森山氏は昨年末以来、政局の節目ごとに岸田首相との密談を繰り返してきたのも事実。これについて、茂木派幹部は「次の幹事長を狙っている」と警戒心を露わにするが、森山氏自身は「茂木氏が党執行部をきちんと差配できないことが原因」と敵愾心を隠さないとされる。

自ら「叩き上げ」と自認する森山氏と比較すれば、茂木氏の経歴は華やかだ。東大卒で米ハーバード大大学院修了。大手コンサルティング会社を経て、1993年に初当選。2003年には当時の小泉純一郎内閣に当選3回で初入閣。その後歴任した経済産業相や外相として手掛けた日米の通商交渉で、トランプ前大統領から「タフネゴシエーター」と評されたことも“自慢の種”とされる。

自らの「トリセツ」を自戒するが…

その一方で、「部下となった官僚達のほとんどが、茂木氏を畏怖の対象としてきた」(外務省幹部)とされる。週刊朝日の報道では「茂木氏のトリセツ(取扱説明書)」として「車中のエアコン設定温度は25~27度」「水は可能な限り『エビアン』を用意」など30項目が列挙された。「作成者は茂木氏の元部下の官僚」(政治ジャーナリスト)とみられている。

こうしてみると、「茂木氏ほど評価が分かれる実力者はいない」(同)というのが実態だ。最近、茂木氏はネット番組でトリセツについて問われると「気を使っていただくのはありがたいが、そういうことで(自身のイメージが)できていっちゃう部分はある」と自戒してみせたが、「9月になったら決めるという丁度1カ月後の決断の時期に何をどう語るかで、『総理総裁候補・茂木』の未来が決まる」(同)ことだけは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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