「ポスト岸田」に野心の茂木氏が及び腰になる事情 "令和の光秀"批判を恐れてか「先頭に立たず」
この発言について多くの同行記者は「総裁選出馬に意欲」などと報道したが、「茂木氏は極めて慎重な発言の繰り返しで、本当に出馬の意欲があるのかすら疑われる内容だった」(同行関係者)のが実態とされる。
かねて慎重さが目立つ茂木氏の発言の背景には、「2012年総裁選の経過と結果がある」(側近)とされる。この総裁選では、当時の石原伸晃幹事長が現職のまま出馬表明し、当時の谷垣禎一総裁を出馬断念に追い込んだことで、「主君を裏切る武将になぞらえて『平成の明智光秀』と批判され、本命視された総裁選で惨敗した」(自民長老)ことは記憶に新しい。
「自派も束ねられないのに」との揶揄も
茂木氏は1日のインタビューで総裁に求められる資質について「チームを束ねて改革を大胆に実行していく力だ」と指摘。これが「意欲報道」に結びついたとされるが、党内では「党執行部も自派閥も束ねられない茂木氏の、ブラックジョークにしか聞こえない」(麻生派幹部)と揶揄する声も少なくない。
そもそも旧茂木派(平成研究会)の源流は、幹事長として豪腕を発揮し、54歳の若さで総理・総裁の座を射止めた故田中角栄元首相が、政権発足時に結成した旧田中派(七日会)だ。その後の経世会時代も含め、竹下登、橋本竜太郎、小渕恵三の3首相(いずれも故人)を輩出したが、総裁選挑戦は2003年の藤井孝男元運輸相を最後に、20年以上途絶えたままだ。
このため、茂木氏は「名門派閥の後継者」を意識してか、様々な会合などで「うちはしばらく総裁選をやっていないので、(自分の出馬への)若手の期待感がある」などと繰り返している。ただ、「茂木さんは、幹事長だけでなく外相など党・内閣の要職を他の誰よりも経験してきた割には、国民的評価が低い」(自民長老)のも事実だ。
ここにきて、頻繁に実施されている報道各社の世論調査でも「次の総裁候補としての茂木氏への国民の期待度は1%程度というお寒い実情」(アナリスト)だからだ。このため党内でも「政策能力は高く評価されているが、国民的人気がまったくない人物では、岸田首相以上に“選挙の顔”には選べない」(閣僚経験者)との声が多数派とみられている。
これに加え、茂木幹事長を巡る党執行部内のきしみも、ここにきて目立ち始めている。岸田首相に近い幹部からは「茂木氏の存在自体が、政権の評価が上がらない原因になっている。幹事長は総裁選の行司役なのだから、出馬するのならさっさと辞めるべきだ」との声が相次ぐ。
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