東大の外国人学生が悩む「日本で就職」のカベ 「日本企業で自分はリーダーになれるの?」
東大に通う中国人のAさんも日中英の3言語を操るが、採用担当者に「語学だけできてもね……いちばん大切なのは日本式のビジネスノウハウをわかっていること」と言われて悔しかったと話す。「私たち留学生に日本人とまったく同じ常識や日本語力を求めるのは酷だと思う」とAさんは漏らす。
企業の一次選考では、SPIをはじめとしたウェブテストが頻繁に活用される。しかし、「日本人にはどうってことのない言語分野も辛い。四字熟語とかよく知らない」とAさんは言う。「書き言葉と話し言葉は違う。東大の授業はすべて日本語で受け、日本の学生と同じように課題もこなしているけど、得意なわけではない。だからウェブテストやエントリーシートは友達に添削してもらった。キャリアセンターの人は添削まではしてくれないから」。
ロールモデル不在も悩み
早稲田大学の韓国人留学生、Dさんは「ウェブテストをやる前に面接があればいいのに」と話す。
「SPIで機械的に落とされるのは辛い。長文を速読して紛らわしい選択肢から答えを選ぶ作業が、本当に実際の仕事で必要だとは感じられない。まず面接で話す機会がもらえれば、日本の企業で働くのに十分な日本語能力があることはわかってもらえると思う」
留学生として日本企業に就職したロールモデルの不在も、彼らの悩みのひとつだそうだ。
「10歳くらい年上で、日本企業に勤めている中国人をあまり知らない。留学生コミュニティというものがあまり発展していず、話を聞ける人を探すだけでも一苦労。お手本となる人があまりいないから、将来のキャリアプランを描きにくい」(Aさん)
「日本で就職できなかったら、韓国に帰ればいいじゃん」という友人からの心無い言葉に傷つくこともあるとDさんは言う。「実際はそんなに簡単な問題じゃないのに」。
日本再興戦略、外国人材活躍推進プログラムなど、政府も「高度外国人材」の受け入れ体制を進めているものの、外国人留学生の就職の苦悩はもうしばらく続きそうだ。
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