「クリミア上陸作戦」で停戦交渉狙うウクライナ 秋に向け軍事攻勢へ、力の立場でロシアへ呼びかけ

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全長約18キロメートルのクリミア大橋の破壊作戦は、上陸作戦と相前後して実施されるとみられる。

作戦にはすでにクリミアのロシア軍基地への攻撃で多用されているアメリカ供与の地対地ミサイル「ATACMS」(エイタクムス)か、オランダなど欧州各国から近く続々到着するとみられるF16戦闘機が使われるだろう。軍事筋によると、機数は不明だが、F16の第1陣がすでに密かにウクライナに到着している。

いずれにしても、上陸作戦やクリミア大橋の破壊など、反攻作戦が成果を上げた場合何が起こるのか。東部ドンバス地方(ルガンスク・ドネツク両州)とともにクリミアを併合したプーチン氏にとって、2000年の政権発足以来、最大の政治的な権威失墜になる。

主導権奪還しロシアに停戦条件を提示

ゼレンスキー政権がクリミア攻撃の先に見据えているのは、プーチン政権を苦境に追い込み、「力の立場」で停戦交渉をロシアに呼び掛けることである。2022年2月の侵攻直後の軍事的劣勢の中、ゼレンスキー政権はロシアとの間で苦しい和平交渉を余儀なくされた経験がある。

この交渉は失敗したが、今回狙っているのは、戦争で主導権を回復したウクライナがロシアに自らの条件を提示し、それに沿った停戦交渉を行うことである。

ゼレンスキー大統領が最近、ウクライナの和平案を協議する世界平和サミットの第2回会合を2024年11月にロシアも招待して開催すると発表した。この背景には、このサミットの場でウクライナがロシアに停戦交渉呼び掛けるという狙いがあるのだ。

そのウクライナの条件とは何か。全領土奪還を掲げるゼレンスキー政権としては、国際的に承認されている1991年の国境線までロシア軍が撤退することが最も重要な前提になろう。

もちろんこれはウクライナが描くシナリオであり、ロシア側がこの条件で交渉に応じる可能性は高くはないかもしれない。しかし、ウクライナにすれば、ロシアが交渉に応じなくても別のメリットがある。

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