日本超えた?多民族国家シンガポールの鉄道事情 空港の商業施設は人気観光スポット、列車も走る

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現在は1回の切符はなく、公共交通を利用するにはICカード乗車券などが必須である。旅行者に便利な「ツーリストパス」もあり、1日パス22シンガポールドル、2日パス29シンガポールドル、3日パス34シンガポールドルで、MRT、LRT、路線バスが乗り放題になる。これらパスもカード式であるが、興味深いのは、使用後、カードを返却すると10シンガポールドル戻ってくることで、本体価格と比べてカード代の割合が大きい。

つまり、3日間パスは34シンガポールドル(約3808円)であるが、カードを返却すれば10シンガポールドル(1120円)返却されるので、実質的には3日パスは24シンガポールドル(約2688円)となる。購入や返却は主要駅の有人切符売り場のみであるが、事前購入でき、購入時点では開始日を決める必要はなく、最初に改札機にタッチした日が開始日となる。

開業時から、いわば使い捨ての紙の切符はなく、現在は世界的にプラスティックやICチップの無駄遣いを抑制する動きが加速しているが、環境破壊抑制という点ではシンガポールは進んでいると感じる。

振り返ると、シンガポールにMRTが開業した1987年当時、アジアでは日本がもっとも鉄道が発達し、世界に先駆けて高速鉄道や自動改札機などが普及していたので、「やっとシンガポールにも地下鉄ができた」と思ったものである。しかし、現在、日本とシンガポールを比べると、とくにソフト面ではシンガポールがかなり先を進んでいるように感じる。

空港のターミナル間を結ぶ鉄道は一見の価値あり

世界でも「ここだけ」といえるユニークな列車もある。それがチャンギ国際空港のターミナル間を運行する自動運転の列車だ(日本技術による)。チャンギ国際空港には、ターミナル1のすぐ前に「ジュエル」という商業施設があり、屋内に滝があることで観光客に人気である。「空港に商業施設が併設されている」というものではなく、立派なシンガポール観光の見どころのひとつであろう。

そしてターミナル2とターミナル3を結ぶ交通機関がこのジュエルの屋内を突っ切っていて、滝の前では徐行する。空港のターミナル間を運行する交通機関に遊び心があるという部分がかなりユニークで、少なくとも日本ではありえないような感覚である。この交通機関は出国後のエリアだけではなく、一般エリアでも乗車でき、運賃は無料である。

シンガポールのチャンギ国際空港は、世界の空港ランキングなどで常に上位の空港であるが、だれも考えつかないような、突拍子もないことをやるものだと感心してしまう。

チャンギ国際空港前の商業施設ジュエルを行くターミナル間連絡の交通機関(筆者撮影)
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