日本超えた?多民族国家シンガポールの鉄道事情 空港の商業施設は人気観光スポット、列車も走る

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現在のMRTは南北線、東西線、北東線、サークル線(まだサークル状にはなっていない)、ダウンタウン線、トムソンイーストコースト線と6路線にまで増えている。南北線と東西線は中心部のみ地下区間で、その他の4路線は全区間が地下、この4路線は乗務員のいない自動運転である。

これら6路線を軸にし、3路線のLRT(ゴムタイヤ駆動、自動運転の交通システム)が、大規模な住宅群のなかを運行する。さらにバス路線も機能的にできていて、MRT主要駅にバスターミナルを配置し、MRTなどの運行しない地域をカバーしている。

どの交通機関、どの路線も時刻表に掲載されているのは始発と終電、終バスのみ、逆にいえば、その間は3~10分、バスなども長くても20分も待てば次の便がある。

MRT、LRTはSMRTトレインズとSBSトランジットの2社が運行するものの、施設などは陸上交通庁、いわば国が管理しており、運賃は統一され、初乗りを複数回払うことはなく、中間改札もない。東西線はチャンギ国際空港へ乗り入れるが、空港だからというような特別な運賃もなく、市内中心地からの運賃は200~300円相当である。バスへの乗り継ぎ割引も充実している。

シンガポールは、マイカーを減らすための施策として、自動車税を高額とし、ライドシェアなどが進んでいるが、その分、島内のどこへでも公共交通がしっかりと完備されていて、渋滞も少ない。日本のような民間任せではなく、国が交通政策をしっかり管理しているのが好印象だ。

シンガポールにはこのほかにセントーサ島へ行くモノレールとロープウェイがあるが、これらはセントーサ島というレジャー施設の入場料込みの運賃しかなく、交通機関という感覚ではなくテーマパークのアトラクションのひとつと感じる。

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LRTは大規模団地のなかを運行するので、観光客の利用機会はほぼないが、MRTは6路線あるので、おもな観光地はすべてカバーしている。マーライオン周辺、マリーナ地区、チャイナタウン、リトルインディア、アラブ人街、セントーサ島行き交通機関への乗り継ぎ、さらにチャンギ国際空港、すべてMRTでアクセスできる。バスも利用しやすく、中心街ではMRTはすべて地下路線なので、ダブルデッカーの路線バスを観光バス代わりに利用するのもいいだろう。

切符は1987年の開業時から紙ではなく1回券でもカードの形態だった。当時、日本にあったテレホンカードのような形状、改札機で集札した後に再利用するので、折り曲げたりすると罰金であった。

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