日経傘下入りで気になる「FTの強み」の行方

孤高の勝ち組経済メディアの強みとは?

7月24日、FTグループの買収経緯について記者会見する日本経済新聞社の経営首脳(撮影:今井康一)

日本経済新聞社による買収により、日本でも、にわかに注目を集めているのが英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)だ。FTは英語の経済紙としては、米国のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)と双璧を成している。

新聞業界においては、紙の新聞の発行部数が慢性的に減少する一方で、電子版・デジタルサービスからの収入が微小という構造的な問題を抱えており、「新聞の危機」状態が叫ばれるようになって久しい。そうした中にあって、紙から電子への移行を成功させた、稀有な新聞がFTである。なぜそれが可能になったのだろうか。

高収入、高学歴の読者層を持つ強み

まず、FTの読者層の特徴を見てみよう。FTは1部売りだと、平日(月曜から金曜)は2.5ポンド、週末版(土曜日)は3ポンドで販売されている。現在ポンド高だが、1ポンド=200円とすれば、平日では500円、週末は600円となる。ガーディアンなどの他の高級紙の場合は平日が1.4ポンド(280円)ほど、週末が1.8ポンド(360円)ほどだ。サンなどの大衆紙は平日が40ペンス(80円)ほど、廉価の新聞「i(アイ)」は30ペンス(60円)。平日に1部を買うのに500円も払うFTはダントツに高い。

定期購読をすると、月額76ポンド(1万5200円)もする。電子版のみだと、どこまでプレミアム・コンテンツが読めるかによって、42ポンド(8400円)か30ポンド(6000円)のコースがある。月に1万5200円とはいくら何でも高すぎる、と思われる方がいても不思議ではない。

逆に言うと、これだけの金額を自前であるいは会社が払ってくれるような人が購読者となることで、FTを支えている。そんな読者を持っていることがFTの強みだ。

FTが2013年に1万8000人の読者を対象にした調査によると、読者の平均世帯年収は約16万2000ポンド(3240万円)に上る。驚くほどに高い。ちなみに、英国の下院議員の年収は約7万ポンド、首相の収入は約14万ポンドである。48%が経営幹部で、71%が国際企業に勤務している。79%が海外出張に出かけるという。

では、富裕層のみ相手にしているのかといえばそうではない。

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