不自由な経済 松井彰彦著 ~市場を拒むことの結果を説得的に論じる

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第2部は、2007~10年にかけ、新聞に掲載された「経済論壇から」に加筆・修正したものである。当時の論壇の空気が伝わってくる。リーマンショック後、市場に対する懐疑論と共に、世界的にケインズ主義が復活し、各国で大規模な追加財政政策が実施された。米国では、少数意見ではあったが、テイラー教授などが、裁量的な財政政策の有効性が復活した証拠はなく、不適切な政策だと論じた。評者も、「100年に一度の危機」はバラまき財政のための政治的レトリックとして、追加財政に慎重姿勢を取った。

現在の米欧の財政危機は、金融システムへの公的資金注入が原因というより、バブル崩壊後もバブル期の経済水準を維持しようと追加財政を行ったことに原因がある。当時、追加財政を支持した内外の有識者の主張をあらためてぜひとも検証してもらいたいものである。

まつい・あきひこ
東京大学大学院経済学研究科教授。1962年生まれ、東大経済学部卒業、米ノースウエスタン大学MEDSでPh.D.を取得。米ペンシルベニア大学経済学部助教授、筑波大学社会工学系助教授、東大大学院経済学研究科助教授を経て、2002年より現職。

日本経済新聞出版社 1890円 238ページ

  

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