岸田首相、バイデン氏の撤退で再選戦略に暗雲 勢いづく"降ろし"、公明含め身内の退陣要求加速

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(写真:時事)

秋の総裁選での再選を狙う岸田文雄首相に対し、アメリカのバイデン大統領の次期大統領選からの撤退決断が、自民党内の“岸田降ろし”の加速につながりそうだ。与党の公明党も含め、「岸田政権では選挙を戦えない」との声が一段と拡大、早期退陣論が勢いを増しているからだ。

岸田首相はバイデン氏撤退に「政治的に最善の判断をするとの思いでの判断だと思う」とコメントする一方、自らの進退については、「直面する内政・外交の重要課題に、全力で取り組む」ことで反転攻勢の機会をうかがう構え。これに対し、総裁選出馬へのカギとなる内閣支持率は微増と微減が入り混じり、「当面、最低レベルからの脱却は困難」(アナリスト)とみられている。このため、岸田首相周辺も「お盆明けの最終決断に向け、冷静に党内情勢を見極める考えだ」(官邸筋)と指摘する。

そうした中、岸田首相とバイデン氏との共通点は「身内の議員たちが次の選挙で巻き添えになって落選することを恐れている」(政治ジャーナリスト)ことだ。総裁選での「岸田再選」は、次期総選挙や来夏の参院選での与党大敗につながりかねないため、「このままでは、トップ交代への圧力は強まるばかり」というのが実情だ。

ただ、日米両トップの「“逃げ道”の有無」には違いが際立つ。大統領選恒例のテレビ討論で醜態をさらしたバイデン氏だが、宿命のライバルともいえるトランプ前大統領がその直後に、危機一髪で暗殺を免れるという劇的な展開で、「勝利は望めない状況に陥り、“逃げ道”が閉ざされての撤退決断」(政治ジャーナリスト)とみられている。

退陣要求「大合唱」もライバル不在の岸田氏 

これに対し、岸田首相も目前に迫る次期衆院選や来夏の参院選をにらんで「新しい顔に代えなければ選挙にならない」(自民若手)との“大合唱”が巻き起こる。しかし、周辺からは「過去に総裁選で現職が負けたのは1度だけ。しかも、絶対的ライバルも不在で、勝機は残っている」(官邸筋)との強気の声も漏れてくる。

自民党内の早期退陣要求の背景には、多くの世論調査で内閣・自民党支持率が長期間過去最低レベルで推移していることへの不信・不満がある。これに対し、岸田首相自身は「やるべきことをやっていれば、(秋までに)支持率は回復基調になる」との楽観論から、「今、総裁選のことなど考えられる状況ではない」と繰り返すばかりだ。

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