岸田首相、バイデン氏の撤退で再選戦略に暗雲 勢いづく"降ろし"、公明含め身内の退陣要求加速

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それにしても、岸田、バイデン両氏の政権運営や政治的立場には共通点が目立つ。まず、党派の違いなどを脇に置けば、「最大の敵対者」は、いずれも前任の菅義偉前首相とトランプ前大統領だ。もちろん、菅氏は総裁選には出馬せずにポスト岸田候補を擁立する構えだが、「実質的には“岸田vs菅”が総裁選の焦点」(自民長老)とみられている。

また、トップになる前は「外交の専門家」が売り物だった点も同じ。岸田氏は長期政権だった安倍晋三政権で、4年半も外相を務め、政権発足後も「岸田外交の成果」を政権浮揚につなげてきた。バイデン氏も8年間のオバマ政権での「外交担当」として、オバマ氏を支え続けた。

さらに、苦境を招く原因となったトップリーダーとしての「優柔不断さ」も同じだ。「日米とも問題点を抱える経済・金融政策で、両氏はともに右顧左眄して決断を遅らせ、国民的批判を浴びた」(経済アナリスト)との厳しい指摘が多い。

その一方で、大きな違いはまず「年齢」と「基礎体力」だ。岸田氏は現在66歳(7月29日に67歳)で、バイデン氏は81歳(11月20日に82歳)と15歳の差がある。しかも、岸田氏は首相官邸にトレーニング機器をもちこみ、「健康だけには自信がある」と豪語するが、バイデン氏は公衆の面前でもつまずいたりよろめいたり、階段が登れなかったり、と体力不足がありあり。「主要先進国ではトップリーダーの『基礎体力』は求心力とも密接につながる」(国際ジャーナリスト)とされるだけに、両氏の優劣は明らかだ。

注目されるのは“逃げ道”の有無

そこで注目されるのが、再選を阻む動きからの“逃げ道”の有無。バイデン氏は逃げ道を封じられて撤退を余儀なくされたが、岸田氏は「出れば勝つ可能性」も残る一方、「あえて不出馬を決めて、後継指名で影響力を残す」との選択肢もあるからだ。

最側近の1人は「岸田さんは、極めて冷静に状況分析しており、辞める辞めないも、緻密に計算したうえで決めるつもりだ」と分析する。だからこそ、後継を狙う石破、高市、茂木各氏や、“反岸田”の急先鋒とされる菅氏も「最終的には岸田首相の出方待ちにならざるを得ない」(自民長老)のが実態だ。

そのうえで、岸田首相の「今後」に視点を絞ると、官邸周辺では「現時点では、『再選出馬』が6割で、残る3割が『後継指名』、『すごすご退陣』は1割」(最側近)との見方が広がる。各メディアのコメンテーターらの多くは「自民党のためにも身を引くしか道はない」と断じるが、「そのこと自体が岸田首相の闘志に火をつけている」(同)と指摘する。

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