岸田首相、バイデン氏の撤退で再選戦略に暗雲 勢いづく"降ろし"、公明含め身内の退陣要求加速

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そこで、政権発足前からの約3年間の岸田首相の「発想と行動」を振り返ると、「すべては自らの強運を信じる独特の感性と、成功体験を基にした政治行動で、ほとんど説明がつく」(同)とされる。「派閥解散宣言」「政倫審出席」そして「5万円超公開」などの決断は、「突発性決断症」などと批判されたが、「すべて計算ずくだった」(同)という。その結果、周囲を驚かせた一連の決断によって、与野党双方に「何をするか分からない岸田首相」との警戒心を植え付け、「それを求心力維持の源にしてきた」(同)というわけだ。

「最善の判断」は、「再選出馬」それとも「撤退」?

岸田首相が心に秘めた再選戦略は①総裁選まで党・内閣人事は行わず、現体制で再選出馬を表明②それにより、ポスト岸田候補の総裁選出馬を牽制③外交日程や総裁選日程を再選前提に組み立てるーーなどが軸とみられる。もちろん、総裁選日程は管理委員会が決めるが、岸田首相周辺は「その辺の根回しも進めているはず」(最側近)と読む。

もちろん、大前提は「内閣支持率の上昇」で、これまで岸田首相への厳しい数字が目立っていた毎日新聞の最新の調査では支持率が4ポイント増の21%、不支持率が4ポイント減の73%と、やや改善したことで、官邸筋は「今後、他の調査も同様な傾向になれば、自民党内の雰囲気も変わるのでは」と期待を込めて語る。

そうした中、永田町では岸田首相のバイデン氏の撤退決断についてのコメントの中の「最善の判断」に注目が集まっている。「岸田首相にとっての『最善の判断』は、『再選出馬』なのか「撤退」なのかという点」(政治ジャーナリスト)だ。岸田首相サイドは「当然、再選出馬だ」と胸を張るが、反岸田勢力も含め「撤退が当たり前」が党内多数派とみられている。各種世論調査でも「岸田再選」への期待は10ポイント前後にとどまっている。

いずれにしても、岸田首相が出処進退を決断するタイミングは「8月お盆明け」(側近)との見方が多い。残された時間は4週間足らずとなるだけに、「いつ、どのような形で『決断』するのか。その場合の相談相手は誰なのか」(自民長老)が、永田町関係者にとっての最大の注目点となりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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