任天堂、「ファミコン風」新作で示した"新しい一手" 懐かしいだけじゃないゲーム「ファミコン世界大会」

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そもそも『ファミコン世界大会』では、なぜゲームの一部が切り取られているのか。レトロゲームはかつて遊んだことのある人には懐かしくてよい反面、古くて遊びづらい側面もある。

しかも、1つのレトロゲームを遊びはじめると、クリアするまでにはそれなりの時間がかかる。タイムパフォーマンスを考える時代には合っていないし、余暇の時間が少ない大人にとっても遊ぶのには少し労力がいる。

ゆえに『ファミコン世界大会』では、『スーパーマリオブラザーズ』であれば「地下ステージの全コインを取る」だとか、『ドンキーコング』であれば「1面最速クリア競争」など、インパクトのある部分や遊びやすい部分を集めて構成されている。

ファミコン世界大会のプレー画面
最大8人でプレイ可能。パーティーゲームとしての側面もある(画像は任天堂公式サイトより)

とはいえ、これだけだと単なる懐古であるし、過去に任天堂が発売した『ファミコンリミックス』シリーズとほとんど差別化できていない。

そこで重要になるのが、1980年代後半から1990年代初頭に開催されていた「Nintendo World Championships(ファミコン世界大会)」を模した部分となる。ただ懐かしむだけでなく、素早くクリアして競争することによって、ファミコンに新たな楽しみを吹き込んだわけだ。

今、人気の「RTA」という遊び方

とはいえ、タイムアタックやランキング要素自体は『ファミコンリミックス』シリーズにも存在していた。今回の『ファミコン世界大会』ならではのポイントは、RTA(リアルタイムアタック)を思わせる要素が追加されているところだ。

RTAとは、ゲーム内時間ではなく実時間でのゲームクリア速度を競う遊び方である。海外では「Games Done Quick」というRTAイベントが2010年から開催されており、日本でも「RTA in Japan」というイベントが注目を集めている。

タイムアタック
画面右には自己ベストのリプレイが表示されるので、どこで早くなるのか・遅くなるのかを判断しながらプレイできる(画像は任天堂公式サイトより)

同じゲームであっても、素早くクリアするとなると1つのショーになる。もっとも、RTAのイベントは目隠しをして視覚情報なしでゲームをクリアするなど見世物としての側面も強いが、いずれにせよ「素早くクリアする」という遊びは普遍的な楽しみがある。

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