新幹線開業で変転、JR九州の特急「783系」の足跡 現在も「みどり・ハウステンボス」として活躍

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一方、それまで日豊本線用だった編成は4両に減車の上で「きらめき」や「かいおう」、佐賀発着の「かもめ」、「有明」などの通勤特急に適宜運用されている。「有明」への登板は11年ぶりだ。「きらめき」は、門司港直通だった一部の「リレーつばめ」の北九州方面だけを残す形で増発された。だが、783系の使用実態としては、どこか隙間風が吹き始めた感覚がする。その後、長年編成から外されていた中間車のモハとサハ計4両が2016年12月に廃車となる。783系初の廃車であり、90両だった総数は86両となる。つまり2011年3月改正は783系のターニングポイントだった。

とはいえ2017年、「ハウステンボス」編成についてもう一度のリニューアルが行われ、華となった。オランダの街をテーマとするハウステンボスの25周年を記念するもので、2018年度にかけて4両編成5本全車に施工された。外観はオランダ王家のシンボルカラーであるオレンジ一色になり客室はモダンな感覚から、木もふんだんに使ったクラシック調に改まった。

783系「みどり」編成はアクセントカラーを緑色とする(写真:久保田 敦)

西九州新幹線開業の陰で活躍の場狭まる

2017年3月改正時点での編成の内訳は、「みどり」用4両編成×5本、「ハウステンボス」用4両編成×5本、日豊本線南九州用5両編成×6本、通勤特急用4両編成×4本である。しかしながら、地方の輸送量が減る中、大分以南の日豊本線特急はワンマン化され、所要の改造を施した787系4両編成を充当、翌2018年3月改正で4両編成特急の全列車がワンマンとなる。

783系の2017年のトピックには、朝の通勤特急における長洲発「有明」と佐賀発「かもめ」の鳥栖―吉塚間併結運転もある。だがそれも「有明」の需要が奮わなかったための列車の統合という背景があり、2018年改正で「有明」は消えた。

コロナ禍を受けてJR九州も輸送のスリム化を急ぎ、2021年3月改正で「にちりんシーガイア」を含む南九州の特急は787系に統一され、783系は日豊本線から退いた。「きらめき」も見直して783系列車が減ったため、ブロックパターン塗装のグループは定期運用がなくなった。

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