「ビッグモーター」巡る損保と伊藤忠のすき間風 賠償保険などの引受要請に、大手は「時期尚早」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そもそもビッグモーターの保険金不正請求は、前副社長をはじめとした経営陣や工場長などの上層部からの圧力だけではなく、現場の作業員が半ば自発的に手を染めていた事例が少なくなかった。

工場の実態を知る損保ジャパンの関係者は、「誰かに指示されたわけでもなく、タイヤをわざとパンクさせたり、量販店で買ってきたカラースプレーで車両を下塗りして、そのスプレー缶を隠しもせず散乱させたりしている工場は1つや2つではなかった」と打ち明ける。

不正を排除できるのか

そうした不正に関与した、もしくは疑いがある従業員を、事業承継に際して完全には排除できておらず、今なおウィーカーズに在籍しているわけだ。伊藤忠は「承継前に作られた第三者調査委員会・賞罰委員会において、外部弁護士も入り、過去あった事案について調査した上で、懲戒解雇や相応の処分が下された。そのプロセスを経て、解雇されずに残っている社員は全員、ウィーカーズ側に承継されている。承継以降は、引き続き内部通報制度等を使いながら情報を吸い上げ、調査を重ね、適切に対処していく方針だ」としている。

「懲戒解雇や相応の処分が下された」というが、ビッグモーターの不正請求の実態を知りながら、証言書類の改ざんを指示するなど隠蔽行為を続けた、いわば“主犯格”の元板金部長が「いまだにウィーカーズに在籍していることも大きなリスク要因だ」と、大手損保の幹部は話す。

そうした心もとない状況にもかかわらず、自管賠などの保険取引を高圧的に迫る伊藤忠と、「現状をまったく理解していない」と憤りを募らせる大手損保。両者に吹くすきま風は、当面やみそうにない。

中村 正毅 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事