「ビッグモーター」巡る損保と伊藤忠のすき間風 賠償保険などの引受要請に、大手は「時期尚早」

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結局、大手各社が軒並み自管賠の取引を謝絶したことで、中堅のAIG損害保険が契約を引き受けることとなった。

ただ、伊藤忠側としては引き受け手が1社だけとなり、保険料が高くなる状況を避けたかった。そのため6月以降、大手損保各社に改めて引き受けについて相談したが、その交渉姿勢をめぐって、大手損保の不興を買ってしまった。

契約交渉にあたって、伊藤忠が提示した書類には、①ビッグモーターの借金や不正請求の弁済といった債務を引き継いだBALM(バーム)と、事業を引き継いだウィーカーズは別会社であること、②伊藤忠で法務担当の役員を務めた人物をウィーカーズに派遣し、徹底した法令順守を敷いていること、③将来のグループ会社化を見据えて、伊藤忠が経営に深く関与する方針であること、が記されている。

「非常に上から目線の内容だった」

そこまではよかったが、それに続く記述のトーンは、「われわれ伊藤忠がここまで経営にコミットすると言っているにもかかわらず契約の引き受けを謝絶する理由は何なのか回答を求める、という非常に上から目線の内容だった」(大手損保役員)という。

大手損保が自管賠の引き受けに慎重なのは、何も不正請求被害の回復といった禊(みそぎ)が済んでいないからというだけではない。

ビッグモーターから従業員の雇用を引き継いだことで、ウィーカーズには不正請求や器物損壊などの不正行為に関与した、またはその疑いのある従業員が少なからず残っている(撮影:大澤誠)

ビッグモーターの従業員約4200人をウィーカーズが引き継いだことで、法令違反のリスクが依然としてくすぶっていることも、取引を難しくしているのだ。

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