「トランプ氏銃撃」国際ボディーガードによる考察 鉄壁だったはずの警護になぜ隙ができたのか?
一方で、狙撃という形を取ったことについて、小山内さんは「近距離警護がしっかりしていたからこそ、このような方法を取るしかできなかったのではないか」と主張する。
「アメリカでは、過去にも多くの大統領や大統領候補者が暗殺されているので、シークレットサービスなどはかなりしっかりとした警備体制を取っています。そのため日本とは違い、攻撃者がターゲットに近づくのは容易ではありません。
今回もおそらく、演説会場周辺にはしっかりとしたセキュリティバリア(境界線)が設定され、会場敷地内へのアクセスには金属探知機などを使った出入管理がしっかりと行われていたはずです。
このように近距離の警備体制がしっかりとなされると、攻撃者はターゲットに近づくことすらできませんので、距離を取った狙撃という方法を取るしかなかったのでしょう」
犯人が自動小銃を選んだ理由
アメリカメディアによると、犯人は地域の射撃クラブに所属していて、日頃から銃の扱いに慣れていたようだ。小山内さんも「犯人は狙撃に最適な自動小銃を選んでいた」と分析する。
「犯人が使用したと思われるアサルトライフルは、スナイパーライフル(狙撃銃)よりも容易に入手でき、訓練さえすれば300メートル程度先のターゲットを狙うことができます。狙撃の状況から考慮すると、犯人が使用したライフル銃、おそらくアサルトライフルは、今回の襲撃に適した武器であったと考えられます」
警護態勢のミスが指摘される報道が多いなか、銃撃の直前にシークレットサービスの狙撃チームが犯人の存在に気づき、犯人が発砲したため、すぐさま射殺したという報道もあった。
小山内さんも「即座に犯人を射殺できたのには理由がある」と言う。
「例えば、事件があった場所のようなひらけた空間ですと、銃声を聞いてからすぐに狙撃手の位置を特定するのは、難しいです。比較的早く攻撃者の位置を特定し、反撃できたのは、おそらく直前にシークレットサービスの対狙撃チームが、犯人の位置を特定していたからではないかと思われます。
先に攻撃されてしまったのはシークレットサービス側のミスですが、攻撃発生後のレスポンスは素晴らしかったと思います」
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