トランプがユダヤ系富豪から巨額献金される事情 タブーを破って米大使館をエルサレム移転

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トランプ支持者は、反進化論の原理主義者が嘲笑された「モンキー裁判」の舞台テネシー州などに目立ちます。同州は、南部山地の農民を侮蔑的に呼ぶヒルビリーという言葉で知られる土地柄です。北部の都会人に見下される田舎のイメージがあります。トランプが2016年の大統領選で「忘れられた人々」と呼んだのはヒルビリーなどの貧しい白人福音派です。トランプの巧みなレトリックは大衆の共感を呼びました。民主党のヒラリー・クリントン候補は「忘れられた人々」を「困った人々」と呼び、上から目線だとの反発を招いて敗因のひとつになりました。

(画像:『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』より)

アブラハム合意と防空システム、スパイウエア

ホワイトハウスで2020年9月15日、アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンの外相がネタニヤフ首相と国交正常化に合意する文書に署名しました。旧約聖書の族長アブラハムがユダヤ人、アラブ人双方の父祖とされることにちなみ「アブラハム合意」と呼ばれました。10月23日にスーダン、12月10日にはモロッコがそれぞれトランプ政権の仲介でイスラエルと国交正常化に合意しました。

UAEなどがイスラエルとの国交に踏み切った大きな理由は、イランと親イランの武装組織の脅威でした。2019年9月、サウジアラビアの石油施設がドローン攻撃を受けた事件が代表的です。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行声明を出しました。サウジ、UAEなどにとってイスラエルの高度な防空システムは、喉から手が出るほどほしい兵器です。イスラエルとアメリカが共同開発した「アイアンドーム」は、ガザ地区のハマスやレバノンのヒズボラが発射する短距離ロケット弾の9割以上を破壊してきたとされます。防空システム「アロー3」はイランの中距離弾道ミサイルを大気圏外で迎撃できるとされます。

権威主義的なアラブ諸国の政府は、イスラエルの高度な盗聴・監視技術にも関心があります。イスラエルの民間企業NSOグループのスパイウエア「ペガサス」はスマートフォンの全情報を盗み取れるとされ、隠れた輸出品になっていました。世界各地で政府高官、野党指導者、ジャーナリスト、人権活動家などのスマートフォンの個人情報が盗み取られ、監視や脅迫に使われた事例が報告されています。2018年にトルコのイスタンブールにあるサウジアラビア領事館で、サウジ出身のジャマル・カショギ記者が殺害された事件でも、ペガサスが利用された疑いが濃いとみられています。

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