藤野 古いですよ。今、ラップ口座では一番大きな残高を持っている大和証券でスタートしたのが2007年。それ以前からサービスはあったのですが、確か当時は最低投資金額が1000万円とか、5000万円というように、富裕層向けのイメージが強かったのですね。それが今では300万円、500万円というように当時と比較するとリーズナブルな金額で利用できるラップ口座も誕生して、富裕層だけでなく、退職金運用を検討している方々にも利用できるようなりました。
中野 まあ、最近になってラップ口座が盛り上がっているのは、2013年8月に金融庁が、銀行や証券会社に対して投資信託の販売体制を見直すように求めたのと共に、回転売買に対する監督を強化すると公表したことが大きかったのだと思いますよ。これまで投資信託の回転売買によって手数料収入を得ていた証券会社としては、新たな収益源を見つけなければならない。ということで、大手証券会社を中心にして、ラップ口座の販売に力を入れ始めたのではないでしょうか。
バカにならない管理手数料
渋澤 でも、投資信託の回転売買を止めたとして、それまで得ていた手数料収入をカバーできるほど、ラップ口座で利益が得られるのかな~。
中野 単純に手数料収入を稼ぐというのなら、投資信託を短期間で回転させた方がいいでしょう。ただ、金融庁の監督が厳しくなったものだから、せめてラップ口座の運用管理資産に対してかかる管理手数料を取ろうという魂胆ですね。この管理手数料がだいたい年2%程度はかかります。投資信託でラップ口座運用をすると、購入した投資信託の信託報酬に加えて、この管理手数料がかかることになります。
渋澤 結構、お高い?
藤野 仮に購入した投資信託の信託報酬の平均が年1.5%だとして、これにラップ口座の管理手数料が年2%だとしたら、年平均で3.5%のコスト負担ですか。これ、期待リターンの低いファンドで運用したら、コスト負けしますね。
中野 そうなのですよ。ラップ口座を開設したものの、出来るだけリスクの低いポートフォリオを組みたいというお客さんが来たとするじゃないですか。すると、多少は株式のポーションも持つのでしょうけれども、多くは外国債券だったり、日本債券だったりするわけですよ。今のようなゼロ金利状態だと、期待リターンはかなり低下していますから、年平均3.5%のコストって、かなり負担が重くなって、うっかりすると期待リターンをコストが食ってしまいかねないですね。
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