AV女優の経験が、「営業職」にも生きる理由

台本なしで撮影をした経験が武器に

「私の良い悪いの基準は、出ている女の子が頑張っているかどうか。私は男じゃないからどこでヌけるかは分からないし、性癖だってみんな違う。でも、女の子が頑張っているかは見てれば分かる。だから女の子のやる気が伝わらない作品は絶対に勧めません」

青臭いように聞こえるが、その信念は、試行錯誤しながらも良い作品を作ろうと懸命に頑張ったAV女優時代の自負に裏打ちされているように思えた。

営業こそが自分のキャラクターを活かせる天職

同時に営業として経験を積んでいく中で少しずつ葛藤も生まれつつある。

店舗にPOPを提案して回る日々だが、具体的な目標数値は持たされていない。何店舗POPが設置されれば正解なのか。何千回YouTubeの動画が再生されれば正しいのか。確たる答えがなければ、それが売り上げに直結する証明もできない。それでも、どうしたら売り上げが伸びるか。日々考え、答えを探している。

「会社で働いてみて思ったのは、同じ人たちの中で話し合いをしても同じアイデアしか出てこないということ。それでうまくいくかと言ったら、何年もそうやって結局今この状況なんだからうまくいかないでしょっていう気持ちが正直あります。だから、私はそこで新しいアイデアを出せるようになりたい。だけど、まだそこまでの力もない。私に何ができるか、ずっと悩んでいます」

葵の目標はシンプルだ。plumをもっと有名にすること。そのために営業として力を付ける決意をしている。AV女優から営業への転職は、ほとんど前例のないキャリアだが、彼女自身は気にする様子を見せないどころか、むしろ楽しそうだ。

「AV女優時代のファンの方からも、AVをやってた頃より今の方が輝いているって言われるんです。私の良いところは明るいところ。だけど、AVって元気な雰囲気だとヌけないし、よく喋る性格も演技の中ではあんまり伝わらない。だからこの仕事は、私のキャラクターを活かせる天職だと思うんです」

どれだけ体を張っても、AV女優時代は自分自身への評価が見えにくかった。だが、営業は違う。目の前にお客さまがいるから、反応もダイレクトに伝わる。自分自身の人間力で勝負できる喜びを、葵は実感している。

こちらの質問に対し、フィットする言葉を選びながら、誠実に明かすその本音は、未熟で不器用で、でも真っ直ぐに仕事に向き合う“フツー”の新人営業マンのそれと、何ら変わりない姿だった。

(取材・文/横川良明 撮影/竹井俊晴)

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