日本の「C型肝炎」は、3年ほどで撲滅できる 特効薬第2弾が承認、ギリアド社長に聞く

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おりはら・ゆうじ●1954年生まれ。ノバルティスファーマ専務取締役、アムジェン日本法人社長、テバ日本法人社長などを経て、2013年からギリアド・サイエンシズ日本法人社長(撮影:今井康一)

その基盤には配合剤を作る技術がある。何でも最初から1錠にしようとする。ある1型C型肝炎の競合薬は、1日1回2錠。そうすると、患者は大変だし、飲み間違えるリスクも高まる。でも、われわれの薬は1日1回1錠。

これはギリアドが強かったエイズの薬からきている。エイズはかつて1日60錠など、片手からこぼれるくらいの量を飲まないといけず、患者にとって大きな負担だった。ギリアドは最初からなるべく1錠にしようとしてきた。ずいぶん前からギリアドの薬は全部1錠。1錠に入っている薬剤は、当初の2製剤から4製剤まで増えた。

「ばかじゃないか」と言われた買収のおかげ

――ソバルディを創製した米ファーマセット社を2011年に買収したことで、C型肝炎領域のリーダーになった。

欧米の製薬大手も足繁くその会社に通っていたが、最後にギリアドのジョン・マーチン会長、ジョン・ミリガン社長がその会社を買収し、ソホスブビル(ソバルディ)を入手した。ギリアドがファーマセットに払った金額は1兆円を超えた(110億ドル)。当時の年間売り上げよりも大きな金額で、「高すぎる」「ばかじゃないか」と言われ、ギリアドの株価は大きく下がった。臨床初期だからリスクもあったが、経営者が二人とも化学専門のサイエンティストなので、目利き力がある。そうとう自信があったのだろう。

――現在の開発品目は?

一つ重点を置いているのは、肝臓の領域。C型肝炎は、グローバルでは治療期間を12週間よりも短縮するための臨床試験も進んでいる。新しいB型肝炎の薬も、国際共同治験により世界同時進行で開発している。日本では、食生活が欧米型になって増えているNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の治療薬の臨床試験を行っている。肝硬変、肝がんも含め、肝臓周りは全部手掛けている。肝臓の領域のプロジェクト数としては、世界トップだと思う。

そしていま立ち上げようとしているのが、がんの領域だ。がんでは、治すことを目標にしている。がん細胞のシグナル伝達を阻害するタンパク質をターゲットとする薬を開発している。昨年小野薬品工業からもその種類の化合物を導入した。

そのほかにも、潰瘍性大腸炎、不整脈などの開発品がある。治療法がなく、死に直結してしまう疾患をメインに開発している。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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