日本の「C型肝炎」は、3年ほどで撲滅できる 特効薬第2弾が承認、ギリアド社長に聞く
――インターフェロンは、発熱、発疹、うつ、脱毛といった激しい副作用で、治療を中止する例も多かった。新薬の副作用は?
臨床試験の段階ではほとんどない。ある先生は、臨床試験中に患者から「先生、私が飲んでいるのはプラセボ(偽薬)じゃないんですか?」と聞かれたほど。治療している間もQOL(生活の質)が十分守れる。
――患者自身が服用で気をつけるべき点は?
12週間毎日、1日1回1錠をきちんと飲んでいただきたい。飲み忘れることがないよう、スマートフォンアプリなどと連動させた、服用のための資材も作っている。臨床試験を行った先生からも、「本当に毎日きちんと飲むことだけだね」と言われている。
2型用の薬はどこも開発していなかった
――なぜ、患者が多い1型対象のハーボニーではなく、2型対象のソバルディを先に開発したのか。
日本は米国よりも、患者の高齢化が進んでいる。米国は40代後半くらいが中心だが、日本は60代半ばのベビーブーマーが多い。何もしないと肝臓がんを発症して死んでしまう、もう待てない、という世代だ。
1型対象のインターフェロンフリー療法の薬は、米ブリストル・マイヤーズ スクイブなど何社かが開発していた。だが、2型はどこも開発していない。そこで2012年後半に、日本では2型を最初に開発すると決めた。米国本社は、市場が小さいか大きいかは関係なく「患者のために何がベストか、何を最優先してやらなければならないか」を考えている。当時、日本法人立ち上げの際の面接でこの話を聞いて、ユニークな会社だという印象を持った。
――数多くの製薬企業で幹部を務めた折原社長から見て、ギリアドはどのような会社か。
「for the patient(患者のために)」ということをずっと考えている。こういうことは、どこの会社のパンフレットにも書かれているが、ギリアドは本当にそれをベースにして考えている唯一の会社だと思う。
ハーボニーはレジパスビルとソホスブビルの配合剤で、最初から1錠で作っている。これは私の過去の経験では非常にもったいないこと。ソホスブビルとレジパスビル、1錠ずつを開発して市場に出し、特許が切れたら配合剤にするというような会社も私は経験している。だが、そういう話を面接の際にしたら怒られた。まったくそういう発想がない。もちろん作用機序も有効性も治療方法も大事だが、もう一つ、患者のためということを意識して開発している。
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