スイスがブチ上げた「無制限為替介入」の波紋

自国の通貨高に強い懸念を示していたスイスが大胆な措置に打って出た。

スイス国立銀行(SNB)は9月6日、過大評価されたスイスフラン高で国内経済への脅威やデフレ進展のリスクがあるとし、1ユーロ=1・2スイスフランの上限を設定。この水準以上は許容できないとして、無制限の外貨購入(ユーロ買い・フラン売り)を行う準備があると公表した。「先進国の通貨として、ここまで強力な声明を出すのは極めて異例」(野村総合研究所の井上哲也主席研究員)。

一方的に進む通貨高に、SNBは8月3日、10日、17日と、続けて金融緩和を発表したばかり。ただ「思い切った措置と見ていたが、インパクトに欠けていた。その後の無制限介入だけに、意外感はあった」(為替市場関係者)。

スイスは日本と同じく、経常黒字かつ純債権国だ。永世中立国として有事に強いうえに、日本と違って財政が健全なことも、相対的な安全資産として買いを集める要因となっている。化学や医薬など輸出産業は多岐にわたり、日本の貿易依存度が10%台に対して、スイスは30%超。しかも、EU諸国向けの輸出が全体の6割を占めており、通貨高の影響は大きい。

消去法でさらに円高か

意表を突いた発表で、スイスフランは一気に10%急落、一時の1ユーロ=1・1スイスフラン台から同1・2スイスフランへと戻した。だが「通貨高の背景は欧州の債務問題。すぐに解決できるものではなく、SNBは市場のスイスフラン買いと長期で戦う(介入する)必要がある」(野村総研の井上氏)。

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