スイスがブチ上げた「無制限為替介入」の波紋


市場の資金動向に抗えず、設定した目安を破られる可能性を指摘する声も、少なくない。介入が失敗すれば、SNB自身が多額の為替損失を抱える。無制限の介入は危険と隣り合わせだ。

一方、同じ通貨高の円も同日、1ドル=77円前半に下落した。「スイスフランと同じように、通貨高に強い懸念を示していた円に対し、一時的に買いポジションが整理されたと見ている」と、三菱UFJ信託銀行資金為替部の塚田常雅グループマネージャーは語る。

だが、今後については、話は別だ。「投機資金はスイスフランには向かいにくい。その反面、日本の通貨政策が従来と変わらないと確認された場合、円の投機的な値動きが増長する可能性も懸念される」(塚田氏)。

欧州中央銀行は今回、「SNBが下した決定に留意する」と、特別なコメントはなかった。一方、欧米にとって通貨安は輸出増に寄与するために、日本が「円高阻止」で先進国の合意形成を得ることは難しい。身動きが取りにくい中、円の独歩高のおそれはぬぐえない。

(井下健悟 =週刊東洋経済2011年9月17日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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