「三権分立はフィクション」と泉房穂が断じる根拠 そもそも議会は「富裕層」のためのものだった

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議会制民主主義、つまり間接民主主義を提唱したのは、先ほど「二権分立」を唱えたと紹介したイギリスの思想家ロックです。

彼の思想は、のちのフランス革命における人権宣言などにも大きな影響を及ぼしていますが、そもそもフランス革命後の議会のベースにあるのは、「政府が勝手に税金を決めるな。税金を徴収される側の意見を聞け」という商売人や富裕層たちの主張でした。

税金を取られる側の理屈、つまり財界人の財産を守ることが議会の最大の関心事でした。

議会制民主主義は、金持ち階級の財産と権利をいかに守るかという関心のもとに生まれた制度であって、議会で守ろうとしていたのは、一般市民の人権や平等などではなく、既得権益であり財産。最初から、社会の普遍的な正義を守ろうなどと考えてはいませんでした。

一般意志が政治に反映されやすい「直接民主主義」

こうしたルソーの視点は、今の議会の状況を考えるうえでも非常に有効です。

つまり、候補者たちは選挙の時には一般向けに耳ざわりのいいことを並べ立ててしゃべるので、選挙の期間中だけは有権者は主権者のように扱われるし、そのような錯覚を抱かされます。しかし、選挙が終わってしまえば蚊帳の外に追いやられるだけなのです。

比例代表における自民党の得票率はたった3割程度というのはよく言われることですが、これは投票された有効票における割合の話。投票に行かなかった人、棄権した人も含めた有権者全体の割合で言うと、自民党に投票した人は2割にも達していません。

わずか5人に1人も支持していない政党が与党となり、議会で重要な政策を決定しているのが現状です。

先ほども述べたように、議会に送り込まれた政治家は、ノイジーマイノリティの代弁者でしかなく、特定の業界や党派、宗教などとは無関係な多くの庶民、つまりサイレントマジョリティの声を代弁する議員などどこにも存在しない。そのような議会が、社会全体のための合理的判断を下せない状況に陥ってしまうのは自明のことです。

一方で、ルソーが理想としたのは議会制民主主義、つまり間接民主主義ではなく、直接民主主義でした。市民が直接首長を選び、首長が権限を行使することで、市民全体にとって共通の利益となること、つまり一般意志が政治に反映されやすくなると考えた。

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