"不適切保育"から「子を守る」親にできること5つ 監視カメラを設置する保育施設もあるが…

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改善するためには、保育士の待遇改善や配置増が不可欠で、そういった保育制度の問題に保護者が関心をもち、声を出していくことも、不適切保育の防止に役立つ。

カメラ導入の是非

不適切保育防止のために保育室等にカメラを設置する保育施設もあるが、監視カメラのように使うことには賛否がある。カメラがとらえるのは部分的であり、出来事の一部だけが切り取られてしまう場合も多いからだ。

特に、保護者が施設内のライブ映像をいつでも見られるようにしていた保育施設では、カメラに映った一場面が誤解されるようなトラブルが相次ぎ、結局カメラを外したという話もあった。

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たとえば、子ども同士のぶつかり合いも成長に必要な体験であること、この時期の子どもは一見わがままな自己主張を繰り返し試行錯誤しながら成長する存在であること、子どもの発達のペースは一人一人違ってよいことなどについて、保護者の側に理解がないと、無用な不安や不満、保護者同士のトラブルにつながってしまう場合もある。

子どものプライバシーの問題も考えなくてはならない。ただし、映像を公開するのではなく、ドライブレコーダーのように記録として撮っておき、検証が必要な場合のみ見返せるようにするのであれば、メリットがあるかもしれない。

子どもが園での遊びや仲間とのかかわりを通して育つことを保障するためには、保護者が保育者を信頼し、その見守りのもとで子どもが泣いたり笑ったりさまざまな体験をすることを、育ちの場のあり方として認めてくれることが必要になる。

保護者には、カメラで保育を監視しようとするのではなく、まずは保育者とコミュニケーションをとり信頼関係を深めることから始めることをお勧めしたい。

不適切保育から子どもを守るためにできる5つのこと
普光院 亜紀 「保育園を考える親の会」アドバイザー

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ふこういん あき / Aki Fukoin

早稲田大学第一文学部卒。保育園に子どもを預けて働く親のネットワーク「保育園を考える親の会」顧問・アドバイザー。保育ジャーナリスト。大学講師。著書「後悔しない保育園・こども園の選び方」(ひとなる書房)、「不適切保育はなぜ起こる」(2024年6月20日刊行、岩波新書)ほか多数。

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