入園後は、送迎時の子どもの様子に異変がないか確認する。子どもが保育士におびえる様子があった場合は注意が必要だ。言葉が話せる子どもとは、日々の会話を大切にし、子どもの話に耳を傾けよう。
ただし、保護者が保育者をネガティブに見る発言を繰り返すと、子どもを不安にしたり誤った認識に誘導してしまうこともある。また、子どもはまだ事実を正確に伝えられない場合も多いので、気になることは率直に担任に相談するなどして、信頼関係を基本にアプローチをしたほうがよい。
連絡ノートや送迎時の会話などでコミュニケーションをとり、保育参加や保護者懇談会などの行事にもできるだけ参加して保育者との信頼関係をつくることは、不適切保育の防止にもつながるはずだ。
疑いをもったという程度であれば、保育者に「こうするのはなぜなんですか?」と保育の意図を確認したほうがよい。その答えがおかしい場合や、明らかに不適切な行為を見聞きしてしまった場合は、園長や主任に相談したほうがよい。
見聞きした問題行為や問題と思う理由を具体的に説明する、子どもが苦痛を感じている事実を伝えるなど、冷静に交渉する必要がある。
「しつけです」と言われたり不誠実な対応しかない場合は、市区町村の担当課などに通報する。市区町村が頼りにならない場合は、都道府県の指導監査部門に連絡する。
保護者にもできることはある
保護者同士のつながりもつくっておきたい。父母会などの組織がない場合も、クラスごとにSNSでつながるなどできるとよい。
保護者同士で情報交換ができれば、実際に起こっていることを客観的に把握することができるし、園に伝える際も複数の証言があれば伝わりやすい。何も問題がない場合も、園と信頼関係を結び保育に協力する応援団として機能させたい。
ここまで見てきたように、「不適切保育」が発生したりエスカレートしたりする背景には、保育士に適格な人材が不足していたり、保育士の仕事の負担が重すぎたりする構造的な問題がある。
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