小田急線の「西の要衝」足柄、知られざる駅の裏側 乗降人員最少だが、運行上の重要拠点がある

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ロマンスカーに乗っているだけだと気づかないが、足柄の最大の特色は運転士・車掌の拠点である乗務所が置かれていることだ。小田急には喜多見、大野、海老名、それに足柄の4カ所があって、乗務員は所属する乗務所を拠点に全線で乗務する。以前はそれぞれ電車区と車掌区に分かれていたが、最近になって乗務所に統合された。

足柄乗務所の前身の電車区・車掌区は2010年の発足で比較的新しい。かつては県西エリアでダイヤ乱れなどが発生したときなどには海老名から乗務員が向かっていたが、足柄に拠点ができたことで復旧までの時間を短縮できるようになったという。

JR線と接続する新松田や、小田原から先の箱根登山線が近い一方、シカなどの野生動物に遭遇しやすい土地柄でもある。

足柄駅と足柄乗務区
足柄駅の出入り口。左が足柄乗務所の建物(記者撮影)
足柄乗務所 寝室
乗務所には寝室や浴室、食堂など乗務員らが休息できる施設がある(記者撮影)

小田急の「西の要」

足柄乗務所を束ねる三嶽秀明所長は、2019年の台風19号の影響で渋沢―新松田間で河川の護岸が流出して不通になった当時について「足柄があることで新松田から小田原の間では折り返し運転により少しでも電車を動かすことができた」と振り返る。

小田急 足柄乗務所長と副所長
足柄乗務所の三嶽秀明所長(左)と山口和宏副所長。乗務員同士の絆も深いという(記者撮影)

三嶽所長は秦野出身で1985年に入社。車掌・助役として経験を積んだ。足柄では「父親が専売公社に勤めていたので、いまでも休み時間の気分転換に専用線跡の遊歩道を歩いてなつかしんでいる」と話す。

海老名での勤務が長かった山口和宏副所長は、足柄を「小田急の西の要」と位置付ける。足柄乗務所には約200人が所属。ほかの乗務所に比較すると小所帯のため乗務員同士の距離が近く「運転士・車掌の枠を越えた絆は負けませんよ」と胸を張る。

足柄は乗降数も乗務所の規模もコンパクトだが、小田急にとって欠かせない重要拠点であることは間違いない。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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