小学校でプログラミングが必修化する納得の理由 「AI・データサイエンス」は現代の新常識である
これは、生成AIの活用においても同様です。NRIセキュアテクノロジーズ社が行った、日米豪の3国2783社に及ぶ2023年の調査によると、生成AIを業務に導入している日本企業は18.0%にとどまることが報告されています。これは、アメリカ企業の73.5%、オーストラリア企業の66.2%に大差をつけられています。
日本企業がこうしたAIやデジタルの変革の波にうまく乗るためには、AIとデータサイエンスの知識を積極的に組織に取り込む必要があります。そのためには、外部からの専門家の招聘だけでなく、社内でのデータサイエンス人材の育成がとても重要となります。そこで今、政府が推し進めているのが、リスキリング、そしてデータサイエンス教育なのです。
小学生から始まる新しいデータサイエンス教育
2019年に内閣府から公開された「AI戦略 2019」では、日本の目指すAI戦略の基本的な考え方が定義されました。そして、その目標に向けてつくられたAI時代に対応したデータサイエンス教育の仕組みが小学生から大学生までの教育に大きな変化を与えたのです。
AI時代に対応した新しい学校教育として、2020年度から、日本全国すべての小学校で「プログラミング教育」の実施が開始されました。小学校でプログラミングという科目が新設されたわけではなく、総合的な学習の時間の中でプログラミングに触れたり、プログラミングゲームを通じて「プログラミング的思考」を身につけるための教育プログラムが開始されています。ここで言う「プログラミング的思考」とは、自分が考える動きをコンピュータに実施させるには、どんな順番でどんな命令を行うべきかを論理的に考える力のことを指し、ゲームなどを通じて「論理的思考力」を養うことを目的としたカリキュラムが展開されています。
中学校教育では、2021年度から数学のカリキュラムの中に「データの活用」の章が新たに組み込まれました。この変更は単なる学習内容のアップデートではありません。彼らが大人になり社会に出る頃、データの理解と活用は仕事の多くの領域で必須スキルとなっていることでしょう。この早い段階から「データの活用」を学び、それが当たり前のスキルとなることで、日本社会全体のデータリテラシーが向上し、将来的にはより高度な「AI・データサイエンス」を活用して日本社会のDXを主導していく力となることを期待されています。
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