最強組織グーグル、その「採用基準」とは? 人事担当責任者が語る「5つの条件」

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グーグルが欲しいのはエキスパートではなく「聡明なジェネラリスト」だ。社員紹介も多いが、100%合格ではなく、なお狭き門だ。

丁寧な採用活動を行うため、面接にはとりわけ時間を費やす。その背後にあるのは、事前にうまく社員を選べれば、雇った後は手間をかけずに済む、という考えだ。

よって、面接での質問の組み立て方にも工夫があふれている。日本企業でもありがちな、思いつきで質問して反応を見るだけの面接は、最初の10秒の印象の確証を得るために残り99.4%の時間を浪費している、と完全否定。よりシステマチックな面接をしている。

「ある人の職務能力を予測するための最善の指標は、ワークサンプルテストである。これは、採用された場合に担当する職務に似た仕事のサンプルを応募者に与え、その出来栄えを評価するものだ」

一般認識能力テストも有効だ。正誤がはっきりしているのでIQテストと同じことが明らかになる。ただし、女性と非白人の点数が低く出てしまう傾向があるという。そこで次の構造的面接の出番となる。

「一般認識能力テストと並ぶのが構造的面接だ。求職者は、回答の質を評価する明確な基準を持つ一連の整合的な質問に答える」

あなたは最強企業が求める人材なのか?

こうして質問の水準をそろえれば、候補者同士の優劣が見いだしやすくなる。また面接官個人のバイアスによる差も生じにくくなる。

構造的面接は行動面接と状況面接に分かれる。前者では、求職者はこれまでの自分の業績を説明して、応募した仕事とどう調和させるかを答えさせられる。後者では、「もし~なら、どうしますか」といった、仮想的な状況での質疑応答となる。

グーグルで使われているのは、こうした面接手法の組み合わせだ。

「面接の目的は、採用候補者がチームに加わったとき、どのくらいの力を発揮するかを予測することにある。私たちはこの目的を達成すべく、科学の語るところを実行する。つまり構造的行動面接と構造的状況面接を、認識能力、誠実性、リーダーシップの評価と組み合わせるのだ」

グーグルは、面接者の支援ツール「qドロイド」を開発した。求職者に担当させたい仕事を選ぶと、面接ガイドがeメールで送られてくる。面接者はそれに沿って質問するので、採用担当者同士の面接レベルの平準化や情報共有が容易になる。定量化によって、採用活動の質も向上する仕組みになっている。グーグル向きの人材は以下のとおり。

「愉快なことを楽しむ/ある程度の謙虚さを備えている/きわめて誠実である/曖昧さを楽しむ余裕がある/人生で勇気のいる、または興味深い道を進んできたという証拠を手にしている」

「週刊東洋経済」2015年6月13日号に一部加筆し転載)

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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