言論の領域が狭まれば日本も「北朝鮮」になる 漫画家小林よしのり氏が「言論の自由」を語る

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小林よしのり●漫画家。福岡県出身。『東大一直線』『おぼっちゃまくん』などの代表作を持つ。社会評論的な活動にも熱心で、安保法案に異をとなえる。

安倍首相は今回、テレビではなくて、自民党が運営しているニコニコのチャンネルで、安保法制の説明をやった。首相が出演して、視聴者数が1万とちょっとくらいしか行かなかったっていうんだから、みじめなもんですよね。

安倍首相はテレビが呼んでくれないっていうけど、ウソだと思う。テレビだって、安倍首相が「きちんと説明したいから出してくれ」って言ったら出演させると思う。

でも、安倍首相は、テレビに出たら反論されるから、それが嫌なんだよ。誰にも妨害されず、議論なしに言いたい放題言える、そういうところでしかやりたくないんだろうね。

「朝まで生テレビ」にも、自分の子飼いの議員を出さないでしょ。出ていって堂々と議論すればいいのに出てこない。議論をまったくしたくない。それが今の自民党の体質。民主主義を放棄した状態なんですよ。

――問題になった「言論の自由」をどう考えればいいのか。

言論の自由というのは、国民の側からとってみたら権利です。われわれには行使する権利があって、権力者の側はそれを守る義務があります。だから、言論の自由を阻害することはできない。

それなのに自民党の議員は何もわかってない。「国民の言論の自由をなくせ」と言っているわけだから。それはもう無茶苦茶だよ。権力者が言ったら絶対ダメな言葉だよね。

言論の公的領域は、広ければ広いほどいい

百田の、沖縄の2紙についての発言もそうだよ。あれは権力の中で言って、焚き付けているんだから。「権力者よ、言論の自由を許すんじゃないぞ」と言って、バカな権力者が「そうだそうだ」と言っている。

だから、百田にだって言論の自由はあるけど、言論の自由は「批判されない権利」ではない。あんな発言は擁護できないよ。

――メディアの役割についてどうとらえているのか。

朝日新聞だって、沖縄の新聞だって、たしかに左翼的ですよ。そりゃあね。ワシだって何度も煮え湯を飲まされたというか、腹立たしい思いはしたよ。けれども、なくなったら困るわけ。沖縄の新聞だって同様よ。

結局、言論の公的な領域が、広ければ広いほどいいんですよ。そういうデタラメな意見も含めて、ある意味、広ければ広いほどいい。狭くなっていくと、北朝鮮や中国になる。公的領域をどれくらい広げておくかということが大切で、いざというときはそれが力になることがあるんだよ。

東京新聞とか、ほんとに極左だなと思うんだけど、記事の中に、週刊文春も週刊新潮も安倍批判に舵を切ったとかいう分析が載っていたり、中川淳一郎のネット分析があったりするから、ワシも面白くて読んでしまう。原発の問題とかいちばん手厳しいから、ものすごく快感を覚えるし、やっぱり、合意できるところもあるんだよ。

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