本の「定価維持」は、もはや正当化が難しい 業界にとっては、今が「脱レガシー」の好機
「自由競争だと公正にならないとされる商品・サービスについて、独占禁止法では一定の例外が規定されています。その例外のひとつが『書籍の再販制度(再販売価格維持制度)』です。書籍は『文化』に直結するから特別扱いだと考えられてきました
理由として、『売れ筋ではない書籍が発行されない』『書店が廃業になる』『地方の書店では販売価格が上がる』『地方の住人が困る』などが挙げられています」
公取委は「原則廃止」を宣言している
ただ、書籍を特別扱いすることに、ネット上では疑問の声も出ている。この点をどうみるべきか。
「実は、2001年の時点で『再販制度』への疑問が強くありました。そこで公正取引委員会が調査し、見解を発表しています。公取委は、原則論としては『再販制度は廃止すべき』と宣言しています。
ポイントカード制で実質的な減額、つまり実質的価格設定が行われていることを指摘したうえで、『各種割引制度導入』『価格設定の多様化』を『一層推進すること』と要請しています。
つまり、このような『ただし書き』付きで、かろうじて『再販制度維持』という結論になっているのです。ポイント制や割引制は再販制度維持の『言い訳』として認められていると言えます」
今でも、同じような状況なのだろうか。
「公取委の見解公表からすでに14年が経過しています。時代の変化によって、コンテンツの消費スタイルが大きく変わっています。
今では、電子書籍・雑誌のサービスが爆発的に普及して、書店の統廃合も進んでいます。これまで挙げられてきた理由では、再販制度維持を正当化することは、ますます難しい状況になっているでしょう」
三平弁護士は「時代の変化は悲しむべきものではありません。憩いの場をコンセプトにする書店など、多くの『今までにない』スタイルも人気を呼んでいます。書店やそれ以外の業界にとって、レガシーなスタイルから脱皮するチャンスが到来していると思います」と述べていた。
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