親がわかっていない子どもが「心を閉ざす」言葉 よかれと思って言ったことが子を傷つける

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しかし時として、投げあっているうちにボールが入れ替わってしまうことがあります。子どもは白いボールを投げたのに、親は赤や黄色のボールを投げ返してしまう。「何もしないのにぶたれた」というボールに対して、「何もしないのにぶつはずないでしょう」といったボールを投げ返す場合です。

子どもの投げた白いボールはどこへ行ってしまったのでしょう。親から赤いボールが返ってきたら、その子は自分の思いをどこにぶつけられるのでしょう。

親が赤いボールを投げ返してしまうのは、子どもの発言や態度や行動をたしなめたり、助言したり、困りごとや悩みごとを解決してやりたいと思うからです。しかしそれでは、せっかく始まったキャッチボールがまったく違うものになってしまいます。

自分で考えて解決できる子になるために

子育ての究極の目的は、ある意味で、親がいなくても生きられる人間を育てることです。困難に直面したとき、自分の頭で考え、自分の判断にしたがって行動を起こせる人間。そして自分の行動に責任をもち、社会のなかで他者とともに生きていける人間を育てあげることです。

「親業」のはじめかた~思春期の子と心が通じあう対話の技術
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自立した人間に育つためには、子どもの頃から言葉のコミュニケーションを通して自分の思いを表現し、他者の気持ちを理解し、自分で考える訓練が必要です。意思決定したことに対して責任をとる体験も積んでいかなければなりません。

そこでは、いちばん身近な存在である親が、わが子に対して日常いかに接するかが大きな意味をもってきます。親子が互いに相手の気持ちを理解し、自分の気持ちをきちんと伝えあうことこそが、自立した人間への第一歩です。親が日常の接し方を通して子に体験させ、学ばせることができるのです。

近藤 千恵 親業訓練協会顧問

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こんどうちえ / Chie Kondo

1968年、国際基督教大学卒業。同時通訳者として活動するかたわら、アメリカの臨床心理学者トマス・ ゴードン博士が開発した「親業(PET)」インストラクターの資格を取得。 1980年に親業訓練協会を設立 し、親業の普及につとめる。翻訳書に『親業ーー子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方』『ゴードン博士の人間関係をよくする本 自分を活かす相手を活かす』、監修書に『「親業」ケースブック』シリーズ(いずれも大和書房)などがある。

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親業訓練協会
おやぎょうくんれんきょうかい

親と子をはじめ、あらゆる人間関係における効果的な方法を学ぶ講座、講演会、研究会などの開催を行う。親子関係に焦点を当てた親業訓練講座のほかに、教師学講座、看護ふれあい学講座、自己実現のための人間関係講座、ユース・コミュニケーション講座がある。親業訓練インストラクター(指導員)の養成 ・認定も行う。

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