創業15年、「アイティメディア」が進む道 老舗ネット企業が利益を出し続ける理由
リードジェネレーションの強化や既存サイトの刷新を進める一方で、苦戦するのがモバイル広告だ。現在、スマホからのアクセスは3割を超えるが、売上高は8%程度にとどまっている。
この課題に対し、成果を出しつつあるのが絶好調の「ねとらぼ」だ。ネット上の話題を紹介するメディアで、今年3月に5000万PVを達成し、同社最大のサイトに成長した。2008年にITmediaニュースのコーナーとして始まり、2011年に独立。PV重視のモデルで、アクセスの半数以上がスマホによるものだ。
毎日の配信記事は30~45本。エンタメやサブカルチャーを中心に、動物の動画やグルメ、ニュースなど、ジャンルは幅広い。編集部は8人で20代の社員が多く、社内でも若いチームだ。「〇〇を作ってみた」などと、編集記者が自ら発信するコンテンツもヒットを飛ばしている。
主なユーザーはネットやSNSをよく利用する20~40代。SNS、ヤフーなど配信先のポータルサイトからの流入はもちろん、グーグルの検索結果から直接訪問する例も多い。
シフトを組み、24時間体制で稼働
PVを最大化するために、編集部はさまざまな工夫を凝らす。たとえば、タイトルは長めで、ネット上で使われる言葉も意識して付けるなど、注目を集めるものにしている。また、昨年10月に新設されたデータソリューション部の支援で、どのコンテンツが読まれ、どの画像がクリックされているといった情報をリアルタイムでチェック。たとえば、「ユーザーの回遊性が低下している」といった問題を認識し、配置されている画像や関連記事を入れ替えるのは日常茶飯事だ。また、編集部は企業ニュースや災害などの速報にも対応できるように、社内で唯一、シフト制を組み、24時間体制で土日も稼働している。速報のニュースがランキング上位に並ぶことも多い。
ラインナップについては、ヒットしそうな話題を編集部で共有し、議論する。「事件や政治などの話題もできる範囲でやっている。なるべく顔を合わせて議論していて、『あれをやるべきだった』などとケンカみたいになることもある」(加藤亘編集長)。
そのほか、記事中のボタンの位置の調整や、ごく一部のユーザーに広告や関連記事を除いた画面を表示し、回遊性や滞在時間がどう変わるかといった実験なども行っている。今年1月以降は、データに基づいて記事やサイトに改良を加えてきたことで回遊率が向上し、夏場に2500万程度だったPVは一段と伸びていった。3月にはヒット記事も相まって、5000万PVを達成している。
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