企業節電対策の基本は空調、照明、今夏の努力で冬のピークを乗り越えられるか?--『会社四季報』緊急調査
また、電気温水洗浄便座、給湯器、冷蔵庫の使用禁止、自動販売機の台数削減など、働く環境を一部、犠牲にしての涙ぐましい節電努力を行った企業も。ピーク比40%減という、回答企業の中では最大の節電目標を掲げた楽天は、社員食堂の営業時間短縮にまで取り組んだ。
制限令によって、夏の間は不測の大規模停電は防止できた。だが、電力の供給能力が増強されたわけではない。昨冬の需要ピークは2月に記録した5150万キロワット。原発の再稼働がなければ、再び電力制限令が発動される可能性は高い。
匿名を条件に、今後、原発はどうすべきかを尋ねたところ、「十分な安全対策を前提として、個別に対応すべき」との意見が圧倒的だった。電力不足の問題もあり、「全原発を稼働停止(廃止)すべき」との見解は6%弱にとどまった。
電力不足を奇貨として節電に励んだものの、休日の平日振り替えなど勤務時間シフトや店舗の間引き照明、工場の夜間操業などには限界も見え始めている。そもそも夏期休業の長期化などで対応した製造業は、冬期にその策は使えない。
しかし、中長期的な対策としてはより省電力、高効率な機器に取り換えるなど、エネルギー効率の向上を図るという企業が圧倒的。「トライブリッド(太陽光発電、蓄電池、深夜電力の3種の電源を最適に組み合わせる)」「自家発電機の導入」など、自社でエネルギー源の多様化を図るという企業も4社に1社程度は見られるが、やはり製造業への偏りは否めない。ただ、意外なことに拠点の海外への移転、移設を考えている企業は、ほんの3%にすぎなかった。