原発事故で困窮する福島県の企業、「このままでは力尽きる」--深刻な風評被害の実態


根強い放射能への不安 人口の県外流出が深刻化

南会津郡で唯一の自動車教習所である同スクールは、地域住民の高齢者講習や建設機械の講習もしている。地域になくてはならない存在であるだけに、地主から地代の30%引き下げを受け入れてもらうことで、職員の雇用を維持し続けている。

福島市や郡山市などの都市が連なる中通り地方は、県経済の心臓部だ。ここでは原発事故を機に県外に転出する働き手や生徒児童が続出。人口減少による地域経済縮小が大きな問題になりつつある。

郡山市で建設機械レンタル業を営む北辰通商では、8月に20~30歳代の社員3人が退職した。「3人とも子育て世帯で、家族と話し合った結果、県外に転居するという。放射能への不安が理由だと説明されると、引き留める言葉も出なかった」(久保田栄二社長)。

県内では原発事故後、大半のイベントが中止になった。郡山市内の「ビッグパレットふくしま」は富岡町や川内村からの避難者の受け入れで来年3月末までのイベント休止を決定。秋に各地で開かれる農業祭も多くが開催を危ぶまれている。レントオール福島(郡山市)の熊田政人社長は「このままだと年商は半減。震災直後に銀行から早めに借り入れをして持ちこたえている」。

食品加工業にも影響が及んでいる。そば粉やコメ粉などを製造するアベ食粉の阿部弘二社長は、「福島県の企業というだけで新規の顧客開拓もままならない。県内観光地向けの売れ行き不振で7月の売り上げも前年の6割」と話す。

郡山食品工業団地協同組合の佐藤文吉理事長(郡山製餡社長)は、「全国からの福島応援キャンペーンもあって土産物需要は持ち直しつつあったが、お盆の帰省客の動きを見ても依然深刻。秋に収穫されるコメの放射線量検査で万が一にも基準値以上が出た場合、加工食品のイメージダウンは避けられなくなる」と危惧する。

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