中央アジア「ATMと米ドル」使えない国・使わない国 日が暮れてからトラブると途方に暮れまくる
機械なのに休むのか!って驚いていたら、9時、オフィスは普通に開いた。
機械が休んで人は土曜出勤とはよくわからない労働体系だけどそれはいいとして、さっそく窓口におもむき、日本のカードで米ドルをくださいってお願いした。
「できません!」
窓口の若い女性に、きっぱりと断られた。気持ちがいいくらい交渉の余地はなかった。自慢のなで肩をさらになだらかにして、精一杯うなだれて駐車場へ戻った。
ああ、どうしよう……、うずくまる。こういうピンチのとき、人は性格がでるものである。ボクは潔くスパっと諦めて、問題を先送りにする未来志向だ。一方Yukoは、
「わたし、もう一度頼んでみる」
土俵を割っていることに気づかないで、軍配があがってからツッパリをかます人種だ。 どちらが良い悪いとは言わないけれど、たっぷりと1時間後、1000ドル分のお札を握って戻ってきたYukoだった。でかしたっ!
自慢げに鼻の穴をおっ広げたYukoの説明では、何をどうでかしたのかさっぱりわからない。が、2階のマネジャー室に通されるほど面倒をかけ、守衛のおじさんにナンパされてSNSの交換をしたそうだ。このとき得た情報はふたつ。
ひとつ、窓口は信用ならない、そして、ATMだって休むということだった。2500ドルを手にして、トルクメニスタンの国境事務所に入った。
窓口をたらい回しに
職員たちは、見慣れない顔をしたアジア人が、見たことのない小さな車で、聞いたことのない言葉をしゃべっているというので、特別に担当者をつけてくれた。
ただひとり英語を話せるアルク君、18歳だ。ライフル銃を肩に下げた彼は、
「徴兵なんか来たくなかったんだ。本当だったらボクはね……」