車載電池のブランドの一般消費者向けアピールで先鞭をつけたのは、前出のBYDだった。同社は2020年3月、エネルギー密度や安全性を向上させた新型電池を「刀片電池(ブレードバッテリー)」と名付け、宣伝を通じて「刀片電池を搭載するBYD車は高性能」というイメージを演出した。
この戦術が成功すると、競合の電池メーカーも自社製品に独自の名前をつけ、一般消費者向けにアピールするようになった。CATLも例外ではなく、セル・トゥー・パック(CTP)と呼ばれる最新技術を用いた新型電池を「麒麟電池」、超急速充電に対応した新型電池を「神行電池」とそれぞれ命名した。
それだけではない。2024年に入ると、CATLは一般消費者向けの新たなブランド戦略をスタートさせた。直接の顧客である自動車メーカーと協業し、CATL製の電池を搭載したEVの車体に「CATL Inside(CATLインサイド)」と書かれたバッジを取り付けるというものだ。
自動車メーカーの調達に不満
「CATL製の電池は、品質でも寿命でも競合他社製に勝っている。だが、一般消費者がそれを体感するのは難しく、自動車メーカーはコスト最優先で他社製の電池を調達するきらいがある」
財新記者の取材に応じた関係者はそう語り、CATLが一般消費者向けの宣伝を強化する真意を次のように説明した。
「上述の現状にCATLは不満を抱いている。そこで、一般消費者に『EVを買うなら電池はCATL製が一番』というイメージを植え付けることで、(消費者からの圧力により)自動車メーカーの調達行動を変えるのが狙いだ」
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月9日
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