プロ野球オールスター戦が盛り上がらない必然 交流戦で他のリーグとの対戦はすでに実現

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しかし、2005年から「交流戦」が始まり、リーグをまたいだチーム、選手による試合が日常的なものになるとともに、オールスター戦の魅力は一気に失われた。

セを代表する強打者、ヤクルトの村上宗隆と、パ屈指の剛腕投手、ロッテの佐々木朗希の対戦も(過去2打数1安打1本塁打)、パの強打者ソフトバンクの柳田悠岐と巨人のエース戸郷翔征の対戦も(過去2打数無安打)、数は少ないながら交流戦で実現している。

交流戦の戦績は、ペナントレースに組み入れられる。個人成績も「公式記録」になる。公式戦ではないオールスターよりも重要度が高い試合で、他のリーグとの対戦が実現したのだから、オールスター戦が色あせるのは致し方ないところではある。

「交流戦」の原型となったMLBの「インターリーグ」

NPBの「交流戦」の原型は、1997年からMLBで始まった「インターリーグ」だ。MLBでは1994年からサラリーキャップ制度やFA権の拡大を巡って選手会がストライキを行い、野球人気が下落した。これに危機感を抱いたMLBでは1997年からインターリーグを実施するようになった。ファンは「新しい対戦カード」ができたことを歓迎し、観客動員は前年の6016万5727人から6323万4442人へと増加した。

しかしこれによってオールスター戦の魅力が半減したのはMLBでも同様だ。以後、オールスター戦に選出されても出場を辞退する選手が続出した。

MLBの場合、オールスター戦は一時期を除いて1試合だから、選出されても出場できない選手が以前からいたので、出場辞退選手にペナルティを科すことはないが、2試合を行うNPBでは、野球協約で「オールスター試合に選抜された選手がオールスター試合出場を辞退したとき、その選手の出場選手登録は自動的に抹消され、所属球団のオールスター試合終了直後の年度連盟選手権試合(公式戦)が10試合を終了する翌日まで、再び出場選手登録を申請することはできない」と定めている。

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