対話の現場/絶対に許せない相手と対話を成立させるには

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10時間以上も飛行機に乗せて運ぶなんて、猫にとってはたいへんなストレスだ。また、猫は動物検疫のために空港に留め置かれることになる。飼い主から引き離され、たった一匹で何日も過ごさなければならない。これはあまりにも残酷な動物虐待ではないか。人として絶対に許せない、というのである。

では、どうすればよいのか? 友人は、かなりムッとしながら同僚に尋ねた。家族同然の猫なのに、A国で里親を探せとでもいうのか?

いや、ここまで育った猫を、ほかの飼い主の元に置くのは、それはそれで残酷な仕打ちである。

それなら、どうしろというのか? 友人は同僚の偏狭な態度に辟易しつつ、次の言葉を待った。

同僚はサラッと言った。

「安楽死させなさい」

安楽死? 友人は自分の耳を疑った。猫を、この家族同然の猫を殺せというのか?

そう、過酷な苦しみを与えるくらいなら、早々に「楽にさせる」のが飼い主の義務だというのだ。

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