詳しい内容は書籍を読んでいただくとして、今回はそこを起点に「正しい褒め方」について考えてみましょう。
書籍によれば、つい10年ほど前まで、アメリカでも「子どもや新入社員は、ほめて伸ばすのがいちばん。そのほうが自信がつくから」と教育することが多かったそうです。実際、日本でも「ほめておだてないと、若者は辞めてしまう」などと言われたものです。
ところがそのやり方は誤りだったことが分かり、現在ではその方針は修正されつつあるのだとか。
というのも、ただやみくもに「お前はすごい」「あなたはすばらしい」とほめられて育った子どもや社員は、確かに「自信のようなもの」を身につけますが、それは「尊大さ」とも言うべきハリボテの自信。スノッブで偉そうだけれども、ひとたびピンチに陥るともろくも自我が崩れ去りパニックに陥ってしまうのです。裸の王様のようにプライドばかり高めてしまうのは、本人のためにもなりません。
では、どうすればいいのか? 最新の研究では、自信は本人による「行動と失敗」によって作られることが分かっています。
まずは行動する。すると当然、失敗する。めげずに行動する。また失敗する。こうして小さな失敗を繰り返すことで、失敗への抗体がつく。その結果、後に大きなリスクを前にしたとき、「ま、たいしたことないだろう」と平然としていられる。これが真の自信の正体というわけです。
ちなみに、ある物事で得られた自信は他のものにも波及します。ゴルフを習って、試行錯誤の末にドライバーがまっすぐ飛ぶようになった(あるいはいざというときにも緊張しなくなった)。滝のような汗をかきながら人見知りを克服した(あるいは怖がらなくなった)。こうした実感は、さらに他のもの(ビジネスや人間関係)に挑戦する原動力となります。
ですから見守り育てるほうとしても、単に相手の人格や能力をほめるのではなく、むしろ本人が自ら行動するように仕向けることが大事になります。
具体的には「君ならできる」と励ましたり、前回の挑戦にフォーカスを当ててほめたり。原始的なところでいうと、ささいな褒美や軽い罰を用意するのも効果的。とにかく「いいからやれ」と背中を押すのです。
ただほめるのは、もう古い。本人が「行動」(して「失敗」)するように仕向ける。
それこそが、自分の子どもや部下に「ハリボテではない本当の自信」を身につけさせる、正しい育て方、というわけ。人を育てる立場にある人は、ぜひ試してみてください!
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