急成長レーザーテック「空売り屋」が標的のナゼ 注目指標「会計利益先行率」ランキングも公開
膨大な内容のレポートだが、指摘したポイントは、同社が実際に現金として稼ぎ出す営業キャッシュフローが、会計上の純利益に比して少なすぎるという点に集約される。その要因として、棚卸資産(在庫)が多すぎることを問題視。製品のスペックに問題があるのではないか、というものだ。
レーザーテックはレポートに対し、「不正会計の疑惑について明確に否定いたします」と即日公表。翌6日には、会計処理について2ページの反論リリースを追加するなど対応に追われた。
ただ実際、レーザーテックの財務が「異質」なのは事実だ。
同社の業績は最先端半導体の需要増加や、市場での独占的なポジションもあって急激に拡大。純利益は2018年6月期からの5年間で10倍以上に拡大した。
現金の代わりに在庫が積み上がる
この5年で累計1070億円の純利益を計上した一方で、営業活動によって実際に得たキャッシュフローは699億円にとどまる。総資産は同期間で500億円から2715億円まで怒涛の勢いで伸びているが、現預金の計上額は131億円から297億円とほとんど伸びておらず、総資産に占める割合も年々減少している。
総資産の伸びの中身はほとんど棚卸資産の増加だ。足元で棚卸資産の比率は56%で、東京エレクトロンやディスコ、KOKUSAIといった国内のほかの半導体製造装置メーカーは20〜30%であることを考えるとその水準の高さが目立つ。
こうした、現金の代わりに在庫が積み上がっている財務状態を指摘して「不正会計の兆候」としたのがスコーピオンのレポートだった。
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