楽天とヤマトの「配送提携」に残された課題 「あの会社」が、まだ乗ってこない

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一方、前述の3種のサービスの残るひとつは、個別に提携したネット通販業者の申込画面から顧客が受取場所を選択する「宅配便受取場所選択サービス」だ。このサービスには、これまでネット通販業者のオルビスやディノスなどの荷主が参加している。ただ、セブンはこのスキームに従来から乗ってきていない。楽天市場が今回導入を決めたのもこのサービスだが、セブンは今回も乗って来なかった。

将来はセブンも参加するのか

セブンがこのスキームに乗らないのは、自社で進めるオムニ戦略(リアル店舗とネットの融合)があるから。ヤマト首脳は「セブンはオムニチャネル化を謳っていて、現段階では自社の商品で進めたい、他社の商品をやろうとまでは考えていない、ということ。もちろん、当社側は排他的でなく、セブンの参加は歓迎だ」という。

しかし、セブン側にまだその気がないようだ。セブン自体がネット通販事業者でもあり、現在、商品購入時にセブン店頭受取を可能としているのは、セブンネットショッピングをはじめとしたグループの通販サイトに限っている。

セブン側は「受取拠点としては、まずは自社グループの通販サイトを通じた商品やサービスについて行っていく。グループ外の商品について直接、受取拠点とするのは、その次のステップになるだろう」と説明する。

では、今回の連携強化スキームについて、もう1人の当事者である楽天には、セブンの店舗が受取拠点にならない点に不満はないのだろうか。会見後の囲み取材でこの点を尋ねられた三木谷浩史会長兼社長は、苦笑しながら「え~、それは、われわれの言うことじゃないので」と言葉を濁した。その表情からは、ネット通販業者、配送会社、コンビニとの間で、ラスト1マイルを巡る合従連衡が、今後さらにあると、予想される。

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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