メール便廃止のヤマト運輸、次の一手は? 山内雅喜新社長が語る今後の戦略

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郵政民営化を「ウェルカム」としつつ、「絶対条件が1つある」と強調した山内社長
ドライバー不足や運賃引き上げに加え、今年後半には日本郵政の上場が予定されるなど、物流業界は大きな転機にある。2019年の創業100周年を前に経営の舵取りを任された、ヤマトホールディングスの山内雅喜社長に戦略を聞いた。

 

──2015年3月でメール便を廃止した。

信書の定義(郵便法、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」)があいまいなため、お客様が知らないうちに信書を混在させ、法律違反に陥るリスクに対処する必要があった。告知や署名を求めるなどしたものの、完全には徹底できていない。苦渋の決断だったが、「お客様第一」を守るため廃止せざるをえなかった。

──一方で、小型宅急便や投函型のサービスを始める狙いは?

メール便の顧客の9割は法人で、こちらは新たな「クロネコDM便」に移行できるので問題はない。廃止は一時的に収益に影響するが、二つの新しいサービスが成長のエンジンとなり、短期間で回復できると思う。

新サービスは、eコマース市場の拡大や配送商品の日用品化に対応したものだ。投函型は独身女性のニーズが高まっており、投函と同時にメール配信を行うなどのサービスも付加する。小型宅急便は従来から宅急便を使われていたお客様には値下げとなるし、選択肢も増える。

郵政民営化はウェルカム

──アマゾンなど大口顧客の反応は?

大手通販やeコマース各社から、選択の幅が広がる点について好感触を示してもらっている。今なお配送方法を荷主が決めているケースがあるが、今後は間違いなく購入者が選択できる形が一般的になってくる。

──今年秋にも日本郵政(JP)の上場が予定されている。

上場で郵政民営化がさらに進む。これはウエルカムだ。競い合うことで、よりよいサービスが生まれる。郵便料金は値上がりが続いてきたが、当社のメール便開始後、定形は値上げせず定形外は値下げをしてきた。強力なライバルとの競争は国民にとってメリットが大きいと思う。

ただ、そこには絶対条件が一つある。イコールフッティングだ。公平、公正な自由競争ができる環境で、初めてそれが成り立つ。メール便の廃止に至った信書の独占領域の問題もそうだし、駐車違反でも、郵便配達車は条例で緩和されている。まだまだ規制で守られている領域が日本郵政には少なくない。

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