冬の「電力危機」は来るか、原発再稼働のメド立たず

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震災で原発3基が停止中のうえ、複数の火力が被災。加えて、7月末の新潟・福島県での集中豪雨により25カ所の水力が停止しており、現在の供給力は1140万キロワット程度。冬の電力需要量は過去最大で1488万キロワットに上る。夏場は節電や北海道電力、東電からの融通でしのいだが、両社とも原発停止で供給力は減少。どれだけ融通を受けられるか未知数だ。

東北電では仙台火力や、停止中の水力の復旧、ガスタービン発電機の設置により、供給力回復を図るとしている。

関電は供給不足の試算

一方、原発依存度が高い関西電力では保有原発11基中4基が稼働中だが、高浜2号機が11月、美浜2号機など2基が12月にも点検に入る。政府のエネルギー・環境会議によると、再稼働できない場合、管内ではピーク時の想定需要に対し、今冬で8・4%供給が不足する見通しだ。

こうした中、長期休止中の南海発電所2号機など、火力発電所5基の再稼働が浮上。合計出力は240万キロワットと原発2基分強に当たるが、「再起動には2~3年かかる」(同社)と見る。

そこで取りざたされるのが、節電要請の再開だ。関電は今夏、管内需要家に15%の強制力のない節電を要請。最大需要や節電量の根拠があいまいなため、批判が続出した。現在関電は「今冬の供給能力すら決まっていないのに、要請の検討をできるはずがない」としているが、管内企業からは早くも懸念の声が上がり始めている。

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