冬の「電力危機」は来るか、原発再稼働のメド立たず
「節電の夏」が終盤にさしかかる中、電力各社は早くも今冬の供給力確保に走り始めている。原子力発電の定期点検やストレステスト(耐性検査)による休止が見込まれるためだ。
8月22日、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の7号機が定期点検に入った。6日に1号機が検査入りしており、同月だけでざっと250万キロワットの供給力が減少。8月末では合計5580万キロワットとなる。
電力危機が叫ばれた今夏、東電は急ピッチで休眠火力を立ち上げた。加えて政府が7月から管内の大口需要家に対し15%の節電を義務づける電力使用制限令を発動。結果、電力使用率の最高値は今のところ、8月18日の90・4%(4936万キロワット)にとどまっている。
が、点検に入っている原発の一部は目下、ストレステストの準備中。再稼働するには、経済産業省原子力安全・保安院や首相など3閣僚だけでなく、立地する地元の了承が必要なため、今冬には到底間に合わない。
過去の冬期の最大電力需要は5500万キロワット。現状の供給力で賄えそうだが、「故障で一つでも火力発電所が止まればそれだけで数十万~100万キロワットが吹っ飛ぶ」(中堅電力)。
東電は今冬について「供給計画をこれから検討する」としている。同時に福島にある東北電力との共同火力2カ所を復旧するなどして、供給力の積み増しを急ぐ。
冬の需要が大きい東北電力はさらに厳しいといわれる。